連日、白熱した戦いが繰り広げられているメジャーリーグのポストシーズンは、ファンにとって1年間で1番の楽しみです。
長いレギュラーシーズンを勝ち抜いたチームが頂点を目指して戦い、選手たちも感情むき出しの熱いプレーでファンを魅了します。
この記事では、ポストシーズンの基本フォーマットをメジャーリーグ初心者にもわかりやすく解説しています。
また、ここまでのポストシーズンを振り返るとともに、今日から行われるリーグチャンピオンシップシリーズの展望をしていきます。
メジャーリーグ初心者の方も、ポストシーズンが一層楽しくなれば幸いです。
ポストシーズンのフォーマット概要
メジャーリーグの各リーグと地区編成の概要
ポストシーズンの概要を説明する前にメジャーリーグの各リーグと地区編成についてご説明します。
メジャーリーグはアメリカン・リーグ(以下、ア・リーグ)とナショナル・リーグ(以下、ナ・リーグ)の2つのリーグ制を敷いています。
日本のプロ野球、NPBのセ・リーグとパ・リーグに相当します。
2つのリーグにはそれぞれ所属するチームが15あり、全部で30チームが存在しています。
更にそれぞれのリーグで3つの地区(ディビジョン)に分かれています。
ア・リーグ
東地区
- ニューヨーク・ヤンキース
- ボルティモア・オリオールズ
- ボストン・レッドソックス
- タンパベイ・レイズ
- トロント・ブルージェイズ
中地区
- クリーブランド・ガーディアンズ
- カンザスシティ・ロイヤルズ
- デトロイト・タイガース
- ミネソタ・ツインズ
- シカゴ・ホワイトソックス
西地区
- ヒューストン・アストロズ
- シアトル・マリナーズ
- テキサス・レンジャーズ
- オークランド・アスレッチクス
- ロサンゼルス・エンゼルス
ナ・リーグ
東地区
- フィラデルフィア・フィリーズ
- アトランタ・ブレーブス
- ニューヨーク・メッツ
- ワシントン・ナショナルズ
- マイアミ・マーリンズ
中地区
- ミルウォーキー・ブルワーズ
- シカゴ・カブス
- セントルイス・カージナルス
- シンシナティ・レッズ
- ピッツバーグ・パイレーツ
西地区
- ロサンゼルス・ドジャース
- サンディエゴ・パドレス
- アリゾナ・ダイヤモンドバックス
- サンフランシスコ・ジャイアンツ
- コロラド・ロッキーズ
上記のように現在は各地区5チームずつ、全30チームの編成となっています。
そして30チームが各地区の優勝とワイルドカード獲得を目指して162試合の長いレギュラーシーズンを戦います。
ポストシーズンの進出条件
ポストシーズンに進出できるのは現行のフォーマットでは各リーグ6チームずつの計12チームです。
地区優勝チーム
各リーグ、それぞれの地区で最も勝率が高いチームが地区優勝チームとなります。
さらに地区優勝チームの中から勝率の高いチームから順にポストシーズンの第1シードから第3シードが割り当てられます。
ワイルドカード
地区優勝チーム以外でレギュラーシーズンの勝率が高かった3チームがワイルドカードとしてポストシーズンに進出。
ワイルドカードチームも勝率の高い順に第4シードから第6シードが割り当てられます。
ワイルドカードシリーズ
各リーグの地区優勝チームから第3シードのチームとワイルドカード枠の中から第6シードのチームが対戦。
もう一つのブロックではワイルドカード枠の第4シードと第5シードのチーム同士が対戦します。
ワイルドカードシリーズは3試合制で2戦先勝です。
シリーズの勝者2チームは次のステップ、地区シリーズ(ディビジョンシリーズ)に進出します。
地区シリーズ
各リーグ、地区優勝チームから第1シードとワイルドカード枠の第4シードと第5シードのワイルドカードシリーズ勝者が対戦。
さらにもう一つのブロックは第2シードチームが第3シードと第6シードのワイルドカードシリーズ勝者と対戦します。
地区シリーズは4試合制で3戦先勝です。
シリーズ勝者は次のステージ、リーグチャンピオンシップシリーズに進出します。
リーグチャンピオンシップシリーズ
各リーグで地区シリーズの勝利チーム同士がシリーズを戦います。
リーグチャンピオンシップシリーズは7試合制で4戦先勝です。
シリーズは2戦、3戦、2戦と進行し、開幕をホームで迎えたチームがより多くのホームゲームを行います。
それぞれの勝利チームが各リーグの優勝チームとなり、ワールドシリーズに進出します。
ワールドシリーズ
それぞれのリーグチャンピオン同士が4戦先勝、7試合のシリーズを戦います。
シリーズはリーグチャンピオンシップと同様に2戦、3戦、2戦と進行し、開幕をホームで迎えたチームがより多くのホームゲームを行います。
ワールドシリーズの勝利チームはワールドチャンピオンとなります。
全てのチーム・全ての選手がワールドチャンピオンの栄誉を手にするために熱いプレーを見せてくれます。
2024年のポストシーズン
では、ポストシーズンの概要説明が終わったところで、今年のポストシーズンについて見ていきましょう。
2024年のポストシーズン進出チームをア・リーグから見ていきましょう。左の数字がシードの順番です。
ア・リーグ
- ニューヨーク・ヤンキース: 東地区優勝
- クリーブランド・ガーディアンズ: 中地区優勝
- ヒューストン・アストロズ: 西地区優勝
- ボルティモア・オリオールズ: ワイルドカード1位
- カンザスシティ・ロイヤルズ: ワイルドカード2位
- デトロイト・タイガース: ワイルドカード3位
ナ・リーグ
- ロサンゼルス・ドジャース: 西地区優勝
- フィラデルフィア ・フィリーズ: 東地区優勝
- ミルウォーキー・ブルワーズ: 中地区優勝
- サンディエゴ・パドレス: ワイルドカード1位
- アトランタ・ブレーブス: ワイルドカード2位
- ニューヨーク・メッツ: ワイルドカード3位
上のトーナメント表は現地時間10月12日時点のものです。
それぞれのリーグの第1シードはヤンキースとドジャース。第2シードがガーディアンズとフィリーズです。
この4チームは地区シリーズからの登場になります。
第3シードのアストロズとブルワーズはワイルドカードシリーズで第6シードのタイガース、メッツとそれぞれ対戦します。
第4シードのオリオールズ、パドレスは第5シードのロイヤルズ、ブレーブスとの対戦となります。
2024年のワイルドカードシリーズ
ア・リーグ
アストロズ対タイガース
- 1-3
- 2-5
タイガースが2連勝で地区シリーズ進出決定。
ゲーム1: タイガースが2回表に3本のシングルヒットで3点を先制。先発のスクーバルは6回を被安打4、6奪三振、無失点の好投。
アストロズは9回表にペーニャのスクイズで1点を返し、なおも満塁のチャンスを作るも、あと1本が出ず1-3で敗退。
ゲーム2: 6回表にタイガースが1点を先制するも、7回裏にアストロズが2点をとって逆転。しかし、粘るタイガースが8回表に同点に追いつくと、代わったヘイダーからさらに2点を奪って勝ち越しに成功し、そのまま勝利した。
タイガースが後半戦の勢いそのままに、ワイルドカードシリーズ2連勝で地区シリーズに進出。
一方のアストロズは初のワールドシリーズ優勝を果たした2017年から7連続でア・リーグチャンピオンシップシリーズに進出していたが、今シーズンはまさかのワイルドカード敗退となった。
オリオールズ対ロイヤルズ
- 0-1
- 1-2
ロイヤルズが2連勝で地区シリーズ進出決定。
ゲーム1: オリオールズ先発のバーンズとロイヤルズ先発のレイガンズの投手戦となった。バーンズが8回1失点、レイガンズが6回無失点と好投。ロイヤルズは6回にウィットJr.のタイムリーで奪った1点を守り切って勝利。
ゲーム2: ロイヤルズが初回に先制。オリオールズが5回にホームランで同点に追いつくも、6回にまたもウィットJr.が勝ち越しタイムリーを放ち、2-1で勝利。
ロイヤルズ2連勝。ワールドシリーズを制覇した2015年以来の地区シリーズ進出を果たした。
一方のオリオールズは投手陣が奮闘するも、2試合18イニングで得点わずか1と自慢の打線が奮わず、敗退となった。
ナ・リーグ
ブルワーズ対メッツ
- 4-8
- 5-3
- 2-4
メッツが2勝1敗で地区シリーズ進出決定。
1ゲーム1: 点の取り合いとなったゲーム。1回裏、ブルワーズが2点を先制。メッツは2回表にすぐさま3点を取って逆転。しかし、ブルワーズが4回裏にメッツ先発のセベリーノを攻め、2点を取って再逆転。
粘るメッツは5回に2アウト、2塁・1塁から途中敬遠を挟んで4連続ヒットで一挙5得点。メッツはその後、ブルワーズに得点を許さず8-4で勝利。
ゲーム2: 初回にメッツが1点を先制。その裏、ブルワーズはチョーリオのホームランですぐさま同点に追いつく。しかしメッツは直後の2回にタイムリーと犠牲フライで3-1と勝ち越しに成功。
ブルワーズは5回に1点を返して1点差に迫ると、8回にチョーリオの今日2本目のホームランで同点に追いつき、更にミッチェルの2ランホームランで3点を取って逆転勝利。シリーズ1勝1敗のタイに戻した。
ゲーム3: ゲーム2までとは打って変わり、中盤まで投手戦となった。ブルワーズ先発のマイヤーズが5回無失点、メッツ先発キンタナが6回を無失点に抑える好投を見せた。ブルワーズは後続のブルペン陣もメッツ打線に得点を許さない。
するとブルワーズが7回裏、キンタナを継投したブトーから2者連続ホームランで試合の均衡を破る。
9回は守護神、デヴィン・ウィリアムズが登板し、勝負あったかと見られたが、メッツは先頭のリンドアが四球を選ぶと、ヴィエントスは三振に倒れるが、ニモのヒットで1・3塁とチャンスを作り、この日ここまでノーヒットのピート・アロンゾがライトへ値千金の逆転3ランを放ち、土壇場で試合をひっくり返した。メッツはさらに追加点をあげ4-2とし、9回裏のブルワーズの攻撃を0点に抑えて勝利。
ワイルドカード3枠目を獲得したメッツが勢いそのままにブルワーズを撃破して地区シリーズ進出。このカードは3試合ともに勝利チームの逆転試合となった。
ブルワーズはチョーリオが打率.455、ホームラン2本、OPS.1.500と絶好調だったが、メッツにあと一歩及ばなかった。
パドレス対ブレーブス
- 4-0
- 5-4
パドレスが2連勝で地区シリーズ進出決定。
ゲーム1: パドレスは1回裏、タティスJr.の2ランで先制。投げては先発のキングが7回無失点、12奪三振と圧巻のパフォーマンスを見せる。試合はその後も追加点をあげ、ブルペン陣がブレーブス打線をシャットアウトして勝利。
ゲーム2: 後がないブレーブスは初回にオズーナの犠牲フライで1点を先制。しかしパドレスは2回裏にヒガシオカのホームランで同点に追いつくと、その後も長打攻勢でこの回、一挙5得点。ブレーブスは5回にソレア、8回にハリス2世のホームランで1点差に迫るも反撃及ばず。パドレスが2連勝で地区シリーズ進出を決めた。
パドレスは集中打と強力な投手陣でブレーブスをスイープ。2年ぶりの地区シリーズ進出を決めた。しかし、2戦目に先発したマスグローブは右肘の張りを訴えて途中交代。内側側副靱帯損傷が判明し残りのポストシーズン は欠場となってしまった。
一方のブレーブスはレギュラーシーズンで多くの故障者を抱えながら、ワイルドカード2位でポストシーズンに滑り込んだ。しかしレギュラーシーズンで投手三冠を獲得しサイヤング賞候補筆頭のエース、セールを欠くなど厳しいワイルドカードシリーズとなった。
2024年の地区シリーズ
ガーディアンズ対タイガース
- 7-0
- 0-3
- 0-3
- 5-4
- 7-3
ガーディアンズが3勝2敗でア・リーグチャンピオンシップシリーズに進出決定。
ゲーム1: ガーディアンズが1回に四球と4つの長短打で一挙5得点。6回に2点を追加し7-0。投手陣は5人のリレーでタイガース打線に得点を許さず、そのまま7-0で初戦に勝利した。
ゲーム2: 試合は投手戦となった。タイガースはエース、スクーバルが7回を投げて被安打3、無失点、8奪三振と圧巻の投球。ガーディアンズも投手リレーでタイガース打線を8回まで封じ込める。
試合は9 回表、ガーディアンズの守護神、クラッセが登板し、三振と内野フライで2アウトとするが、2本のシングルヒットでランナー1・3塁とされ、バッターはカーペンター。6球目の真ん中に入ってくるスライダーを捕らえ値千金の勝ち越し3ラン。タイガースが3-0で勝利し、1勝1敗のタイに戻した。
ゲーム3: タイガースが1回、3回、6回に1点ずつをあげると、ブルペン陣が6人のリレーでガーディアンズ打線を封じ込め、3-0で勝利。対戦成績を2勝1敗とした。
ゲーム4: シーソーゲームとなる。初回にガーディアンズが1点を先制するも2回にタイガースが追いつく。5回にも両チーム1点ずつを取り、6回にはタイガースが1点を勝ち越す。
しかし7回表にガーディアンズがフライの2ランホームランで逆転。9回表にも1点を追加した。タイガースは最終回にクラッセから1点を奪うも反撃及ばず。5-4でガーディアンズ が勝利し2勝2敗のタイとした。
ゲーム5: 最終戦までもつれたカードはタイガースがエース、スクーバルを立てる必勝体制。そのスクーバルは4回までガーディアンズ打線を無失点に抑え込む。5回表、タイガースはカーペンターのタイムリーで1点を先制。
5回裏、ガーディアンズがスクーバルを攻め、3本のシングルヒットで満塁のチャンスを作ると、ホセ・ラミレスがデッドボールを受け、同点に追いつく。続くリーン・トーマスは初球のシンカーを振り抜きグランドスラムを放った。スクーバルはここまでのポストシーズン、17回1/3連続無失点としていたがこのイニングだけで一挙5失点となった。スクーバルの1試合5失点は今季ワーストでランナーを複数人置いた状態での被ホームランは今季初となる。
タイガースは6回、7回に1点ずつを返して反撃するが、ガーディアンズも7回、8回に1点ずつ得点し突き放す。最後はクラッセがタイガースを3者凡退に打ち取り、7-3で勝利。ガーディアンズがア・リーグチャンピオンシップシリーズに進出。
タイガースは8月上旬時点で勝率5割を切っており、トレードデッドラインで売り手に回ったが、8月以降はア・リーグトップの勝率でワイルドカードを獲得。ワイルドカードシリーズではアストロズをスイープ。
地区シリーズでは同地区のライバルであり地区優勝チームのガーディアンズを追い詰めた。しかし、2勝2敗のタイとして迎えた最終戦、エースのスクーバルが登板するもキャリア初のグランドスラムを被弾するなど、まさかの5失点。旋風を巻き起こしたタイガースは地区シリーズで敗退した。
ヤンキース対ロイヤルズ
- 6-5
- 2-4
- 3-2
- 3-1
3勝1敗でヤンキースがア・リーグチャンピオンシップシリーズに進出決定
。ゲーム1: 点の取り合いとなる。 2回表、ロイヤルズが1点を先制すると3回裏にヤンキースはトーレスの逆転2ランが飛び出す。しかし4回表、ロイヤルズはメレンデスの2ランで最逆転に成功する。しかし、ヤンキースは5回裏、満塁からウェルズとトーレスの連続の押し出し四球で再度逆転に成功する
粘るロイヤルズは6回表にハンプソンの2点タイムリーが飛び出し、再々逆転に成功する。しかし直後の6回裏、ヤンキースはウェルズのタイムリーで5-5の同点とすると、7回にはヴァードゥーゴのタイムリーで6-5と勝ち越しに成功。ヤンキースがそのまま勝利した。
ゲーム2: ヤンキースが3回裏にロイヤルズ先発のレイガンズからスタントンのタイムリーで1点を先制。しかし4回表、ロイヤルズ打線がヤンキース先発のロドンを捕らえる。ペレスのソロホームランで1-1の同点に追いつくと、3本のタイムリーが飛び出し4-1とリードを奪った。
ヤンキースは9回にチザムJr.のソロホームランが飛び出すが、反撃及ばず。ロイヤルズが4-2でヤンキースを下し、1勝1敗のタイに戻した。
ゲーム3: ロイヤルズのホームに移動した第3戦。先制したのはヤンキース。4回表にスタントンの2ベースで1点をあげると、5回にはソトの犠牲フライで1点を追加し2-0とする。しかしその裏、ロイヤルズはイズベルのタイムリー2ベースとメッセイのタイムリー3ベースで2-2の同点に追いつく。
ヤンキースは8回表、スタントンがソロホームランを放ち3-2と勝ち越し、そのまま勝利した。
ゲーム4: リーグチャンピオンシップシリーズに王手をかけたヤンキースは初回、ソトのタイムリーで1点を先制。5回にはトーレスのタイムリーでリードを2点に広げる。さらに6回、スタントンのタイムリーで3-0と追加点を重ねた。
その裏、ロイヤルズはパスカンティーノのタイムリーで1点を返すが、反撃もここまで。ヤンキースはエースのコールが7回1失点の好投。ヤンキースが3勝1敗でリーグチャンピオンシップシリーズに進出。
ロイヤルズはア・リーグ首位打者、ウィットJr.が打率.192、OPS.414と震わず。全体的にも打撃陣が不調だった。しかしながら、前年に100敗以上を記録したロイヤルズが大躍進。中地区からタイガースと共にポストシーズンに進出し、地区シリーズまで勝ち進む健闘をみせた。
フィリーズ対メッツ
- 2-6
- 7-6
- 2-7
- 1-4
3勝1敗でメッツがナ・リーグチャンピオンシップシリーズ進出決定
ゲーム1: メッツの先発は怪我から復帰の千賀。1回裏、フィリーズは先頭のシュワーバーが先制のホームランを放つ。しかしメッツの継投策に追加点が奪えない。フィリーズ先発のウィーラーは4四球を与えるも、被安打1、9奪三振でメッツに得点を許さず試合は膠着状態となる。
1-0とフィリーズ1点リードで迎えた8回表、メッツはウィーラーから継投したホフマンに集中打を浴びせ、この回一挙5得点と試合を一気にひっくり返す。メッツは9回表にも1点を追加。最終回の攻撃、フィリーズはクレメンスのタイムリー2ベースで1点を返すが反撃はここまで。メッツが6-2と逆転勝ちで第1戦をものにした。
ゲーム2: メッツは3回表、ヴィエントスの2ランホームランで2点を先制すると、6回にはアロンゾがソロホームランを放ち、3-0とフィリーズをリードする。ここまでメッツ先発のセベリーノから無得点だったフィリーズだが、6回裏2アウトからハーパーの2ランホームラン、続くカステヤノスの連続ホームランで3-3の同点に追いつく。
しかし、7回表メッツはニモのソロホームランで1点を勝ち越す。8回裏フィリーズは7回2アウトから登板しているディアスを攻め、ストットの2点タイムリー3ベースで逆転。さらにサード、ヴィエントスのフィルーダースチョイスで6-4とリードを広げる。9回表、メッツはヴィエントスが2ランホームランを放ち土壇場で同点に追いつく。しかし9回裏、フィリーズは2アウトからカステヤノスがタイムリーを放ちサヨナラ勝ち。シリーズを1勝1敗のタイに戻す。
ゲーム3: メッツのホームに移動して行われたゲーム3は、メッツが2回にアロンゾ、4回にウィンカーのソロホームランを放つ。6回には満塁からマルテの2点タイムリー、7回にも再び満塁からイグレシアスが2点タイムリーを打ち、6-0とフィリーズを突き放す。
反撃したいフィリーズは8回にハーパー、カステヤノスのタイムリーで2点を返すが、その裏、メッツはリンドーアのタイムリーで7-2と追加点を取り、そのままメッツが試合を制した。
いたゲーム4: 後がなくなったフィリーズは4回表、ボームの打球をヴィエントスがフィルダースチョイス。1点を先制する。一方のメッツは1回と3回に満塁、5回にも1・2塁のチャンスをつくるが得点できず。
6回裏、メッツはこの日3度目の満塁のチャンスを作ると、フィリーズは1アウトからピッチャーをエステベスに交代。ここで迎えるのはリンドーア。エステベスの投じた4球目をライトスタンドへ。リンドーアに値千金の逆転グランドスラムが飛び出し、メッツが4-1と逆転に成功。その後、メッツ投手陣がフィリーズに反撃を許さず勝利。メッツが2015年以来のナ・リーグチャンピオンシップシリーズに進出した。
メッツは勝負強い打撃陣が健在。先発ピッチャーもゲームを作り、勢いに乗って勝ち上がった。
フィリーズは地区優勝を果たし、ナ・リーグ勝率2位のため、地区シリーズからの登場となった今ポストシーズンだが、打撃陣はハーパーが打率.333、OPS.1.279、カステヤノスが打率.412、OPS.1.059と好調だったものの、その他のラインナップが軒並み不審。メッツの勢いに完全に押される形となり、地区シリーズ敗退となった。
ドジャース対パドレス
ゲーム1: パドレスは初回、ドジャース先発の山本を攻め、プロファーの内野ゴロとマチャドの2ランホームランで3点を先制する。ドジャースは2回裏、2アウトランナー1・2塁とチャンスで大谷が同点3ランを放ち、試合を振り出しに戻す。しかし山本がピリッとせず、3回表にボガーツに2点タイムリー2ベースを打たれ、再びパドレスに2点を勝ち越される。
ドジャースは4回裏、モレノンのワイルドピッチで5-4とし、さらに満塁からテオスカー・ヘルナンデスの2点タイムリーで6-5と逆転に成功。5回にも1点を追加する。山本は3回5失点と振るわなかったが、継投したブルペン陣がパドレスに得点を許さず、7-5で勝利した。
ゲーム2: パドレスは初回にタティスJr.のソロホームランで先制。2回にはペラルタの2ランで3-0とリードを広げる。反撃したいドジャースは2回裏、パドレス先発のダルビッシュを攻めて満塁とすると、ラックスの犠牲フライで1点を返すが、後続が追加点を取れず。ダルビッシュは7回を投げ被安打3、無失点の好投。投じた82球のうち、4シーム19%、シンカー16.8%、カッター4.4%、スライダー23.1%、カーブ13.7%、スプリット9%と多彩な球種で投球術でドジャース打線を翻弄した。
baseballsavant出典
試合はパドレスが6回にメリルのタイムリー、8回は再びメリルが2ランホームラン、更にボガーツがソロホームランと連続ホームランで7-1とすると、9回にはヒガシオカ、タティスJr.のホームランと一発攻勢で10-1と大きくリードを広げた。ドジャースは9回裏にマンシーのソロホームランで1点を返すが反撃は1点のみ。10-2でパドレスが勝利した。
なお、1回裏にプロファーがベッツのホームランキャッチに成功。これを発端にプロファーの行動を煽りとみなしたドジャースファンがグラウンドにボールや物を投げこみ試合が中断するなど大荒れの試合となった。
ゲーム3: ドジャースは1回表にベッツのホームランで1点を先制。しかしパドレスは2回表にドジャース内野陣の守備の乱れを突き、タティスJr.のホームランなどで一挙6点をあげて試合をひっくり返した。追うドジャースは3回表にテオスカー・ヘルナンデスの満塁ホームランで5-6と1点差に詰め寄る。その後、継投した両チームのブルペン陣が相手チームに得点を許さず。パドレスが6-5でドジャースを下し、2連勝でチャンピオンシップ進出に王手をかけた。
ゲーム4: 後がなくなったドジャースは初回にベッツのホームランで先制。2回には大谷、ベッツの連続タイムリーで2点を追加。3回にはスミスの2ランが飛び出し5-0とリードを広げ、7回にはエドマンのスクイズとラックスの2ランで8-0と大量リードを奪った。パドレスはブルペンデーとなったドジャースの8人の投手リレーの前に得点を奪えず敗れ、対戦成績は2勝2敗のタイとなった。
ゲーム5: 勝者がチャンピオンシップに進出となるゲーム5はドジャースが中5日で山本、パドレスが中4日でダルビッシュと初の日本人投手同士の先発となった。山本は初戦の不調を払拭し5回無失点。一方のダルビッシュも6回2/3を投げてドジャース打線を被安打3。キケ・ヘルナンデスとテオスカー・ヘルナンデスのソロホームランによる2失点に抑える素晴らしい投球を見せた。ドジャースは山本の後を継いだブルペン陣がパドレス打線を封じ込め、2-0で勝利。ドジャースが2021年以来のナ・リーグチャンピオンシップに進出を決めた。
ドジャースは懸念されていた先発陣の駒不足をレギュラーシーズン終盤から調子を上げてきたブルペン陣がカバー。打線もこれまでポストシーズンで精彩を欠いていたベッツが2ホームランを放つなど、復調の兆しを見せた。
パドレスはシリーズ序盤こそ打線が好調だったものの、ゲーム3の2回以降、26イニング連続無得点と沈黙してしまった。投手陣はワイルドカードシリーズで負傷したマスグローブを欠いたことで、先発の駒が不足したことも響いた。
リーグチャンピオンシップシリーズの展望
ヤンキース対ガーディアンズ
ヤンキースは打率.375、OPS1.132と好調のスタントンを中心にトーレスやソトも要所で打っているが、ここまで打率.154、OPS.620のジャッジと打率.125、OPS.347のウェルズの中軸2人が復調することで打線の活発化が期待できる。
投手陣はブルペン陣が今ポストシーズンここまで好調。
一方のガーディアンズはクワンが打率.500、OPS1.119と絶好調。トレードデッドラインで獲得したリーン・トーマスも地区シリーズ第5戦でタイガースのエース、スクーバルより満塁ホームランを放つなど、存在感を見せている。ここまで打率.143、OPS.679と本来の調子ではないホセ・ラミレスが打ち始めると打線がさらに上向きとなる。
一方の投手陣は先発を短いイニングで交代し、ブルペン陣をつぎ込むなど、登板数が嵩んでいる。守護神のクラッセも回跨ぎする場面が多く見られるため、ブルペン陣の疲労が気になるところ。
過去のポストシーズンの対戦成績
- 1997年 地区シリーズ インディアンス勝利(インディアンス3勝2敗)
- 1998年 リーグチャンピオンシップ ヤンキース勝利(ヤンキース4勝2敗)
- 2007年 地区シリーズ インディアンス勝利(インディアンス4勝1敗)
- 2017年 地区シリーズ ヤンキース勝利(3勝2敗)
- 2020年 ワイルドカードシリーズ ヤンキースの勝利(2勝0敗)
- 2022年 地区シリーズ ヤンキース勝利(4勝2敗)
ヤンキースとガーディアンズ(2021年までチーム名はインディアンス)の過去のポストシーズンの対戦は6回でヤンキースが4勝2敗と勝ち越し。直近の3回の対戦はいずれもヤンキースが勝利している。
2024年レギュラーシーズンの対戦成績
6試合: ヤンキース4勝、ガーディアンズ2勝
打撃成績
- ヤンキース 打率.248、出塁率.333、超打率.429、OPS.762
- ガーディアンズ 打率.238、出塁率.307、長打率.395、OPS.702
先発投手成績
- ヤンキース 防御率3.85、被長打率.403、WHIP 1.25
- ガーディアンズ 防御率4.44、被長打率.444、WHIP 1.32
ブルペン成績
- ヤンキース 防御率 2.57、被長打率.371、WHIP 1.24
- ガーディアンズ 防御率 3.62、被長打率.328、WHIP 1.05
Sports illustrated 出典
ヤンキース対ガーディアンズの予想
ヤンキース4勝2敗で勝利。
筆者はヤンキースの勝利を予想。レギュラーシーズンの対戦成績がそのまま当てはまらないのがポストシーズンですが、ヤンキース勝利はジャッジの復調にかかっていると言っても過言ではありません。
ジャッジの2024年レギュラーシーズンの対ガーディアンズ戦の成績は24打数9安打で打率.375、5ホームラン、10打点、出塁率.378、OPS 1.608とガーディアンズを得意にしており、8月の3連戦では4ホーマーの固め打ちでした。
地区シリーズのジャッジは打率こそ.154でしたが、四球は5と選んでいて、出塁率は.389あります。そろそろジャッジの打棒が復活すると踏み、自力でガーディアンズに勝るヤンキース勝利と予想をしました。
ドジャース対メッツ
ドジャースはテオスカー・ヘルナンデスが打率.333、OPS1.067と絶好調。また、キケ・ヘルナンデスもパドレスとの地区シリーズ第5戦で貴重な先制ホームランを放つなどポストシーズンでの存在感を見せつけている。大谷、ベッツ、スミス、マンシーが打ち出すと、チャンピオンシップでもリーグ最強打線が大暴れするだろう。
一方、先発投手陣は初戦にフラハティ、2戦目はビューラーが予想されているが、先発の駒が足りていないため、ブルペンデーを行い、地区シリーズでは先発登板がなかったナックの先発起用も考えられる。ブルペン陣は好調な為、先発ピッチャーが少しでも多くのイニングを投げ負担を減らしたいところだ。
メッツは打率.429、OPS.1181のヴィエントスとOPS.1160のアロンゾを筆頭にリンドーアがOPS.863、ニモがOPS.772と主軸が打撃好調。ここ1番で見せる集中打がレギュラーシーズン終盤から健在だ。さらにチャンピオンシップシリーズから故障者リスト入りしていたマクニールがロスター入りし、更に攻撃陣に厚みが出そうだ。
投手陣は地区シリーズから戦線復帰の千賀がシリーズ開幕戦の先発が発表されており、2戦目がマナエア、ホームに戻ってセベリーノ、キンタナの先発が予想され、ドジャースより先発の駒は揃っている。先発が中盤まで踏ん張りブルペン勝負となったところで、これまで通りの集中打が見られるとメッツの勝機が見えてくる。
過去のドジャース対メッツのポストシーズン対戦成績
- 1988年 リーグチャンピオンシップシリーズ ドジャース勝利(4勝3敗)
- 2006年 地区シリーズ メッツ勝利(3勝0敗)
- 2015年 地区シリーズ メッツ勝利(3勝2敗)
ドジャース対メッツの過去のポストシーズンの対戦成績はメッツが2勝1敗と勝ち越していて、直近2回の対戦ではメッツが2勝している。
2024年レギュラーシーズンの対戦成績
6試合: ドジャース4勝、メッツ2勝
打撃成績
- ドジャース 打率.258、出塁率.335、長打率.446、OPS.781
- メッツ 打率.246、出塁率.319、超打率.415、OPS.734
先発投手成績
- ドジャース 防御率4.23 、被長打率.420、WHIP 1.26
- メッツ 防御率3.91 、被長打率.377、WHIP 1.25
ブルペン成績
- ドジャース 防御率3.53 、被長打率.372、WHIP 1.18
- メッツ 防御率4.03、被長打率.366、WHIP 1.28
Sports illustrated 出典
ドジャース対メッツの予想
メッツ4勝3敗で勝利
筆者はメッツの勝利を予想。リーグチャンピオンシップは地区シリーズより試合数が多いため、先発の駒が足りないドジャースが不利になると考えています。現状は山本とフラハティが軸で、ビューラーはここ数試合、内容的には悪くないですが、かつてのパフォーマンスは期待出来ないと予想しています。また、先発の駒不足に関してはナックを先発で起用することも考えられますが、投げてみないとわからないところがあり不確定要素が多いと判断しました。
ドジャースの攻撃陣は大谷とベッツが鍵になると予想。この2人が打ち始めるとドジャース打線は手がつけられなくなります。更に好調のテオスカー・ヘルナンデス、ポストシーズン男のキケ・ヘルナンデスにも警戒です。
メッツはマナエア、セベリーノ、キンタナ、そして第1戦では打たれてしまったが、千賀が中盤までゲームをつくり、ディアスまで繋ぐパターンに持ち込み、ゲーム後半の集中打で登板数の嵩んでいるドジャースブルペン陣を攻略すると予想しています。
メッツ打線はアロンゾ、リンドーアを軸にワイルドカード、地区シリーズと好調だったヴィエントスが今シリーズもラッキーボーイ的な存在になると予想しています。更にマクニールもロスターに入った事で攻撃陣の厚みが増すので、勝負は第7戦までもつれてメッツがリーグチャンピオンになると予想しました。
最後に
ポストシーズンのフォーマット概要の説明と今シーズンのここまでのポストシーズンを振り返りつつ、リーグチャンピオンシップシリーズの展望と予想をしてみました。
今回のポストシーズンは大谷選手が出場している事もあり、日米で注目が集まっています。
また千賀投手との日本人対決もあり、メジャーのポストシーズン初心者の方も楽しめると思います。
皆さまのリーグ優勝とワールドシリーズ優勝予想はどのチーム?是非コメントで教えて下さいね!
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