メジャーリーグベースボール(MLB)は後半戦に突入し、地区優勝争い・プレーオフ争いが激化してきます。
MLBを見始めた初心者の方はプレーオフの仕組みがわからないという方も多いのではないでしょうか。
私は2001年からMLBを本格的に見始め、ファン歴25年になります。
この記事ではMLBのプレーオフの仕組み・概要、プレーオフの制度の変遷について徹底的に解説します。
初心者の方もプレーオフの概要を改めて確認したい方も、プレーオフの全体像が分かるようになりますので、是非最後までお付き合い下さい。
MLBプレーオフ(ポストシーズン)とは?

MLBのプレーオフは、レギュラーシーズンを勝ち抜いた12チームがワールド・シリーズ優勝の座をかけて戦うトーナメント戦です。
毎年10月に開催されることから「オクトーバー・ベースボール」とも呼ばれ、アメリカン・リーグ(以下ア・リーグ)とナショナル・リーグ(以下ナ・リーグ)の各6チームずつが参加します。
最終的な目標は、両リーグの王者が激突するワールドシリーズでの優勝です。プレーオフは野球ファンにとって最もエキサイティングな時期であり、レギュラーシーズンとは異なる緊張感と戦略的な駆け引きが展開されます。
MLBプレーオフの仕組み(2025年版)

プレーオフの基本構造
MLBプレーオフは以下の4つのラウンドで構成されています。
- ワイルドカード・シリーズ(3試合制)
- ディビジョン・シリーズ(5試合制)
- リーグチャンピオンシップ・シリーズ(7試合制)
- ワールド・シリーズ(7試合制)
プレーオフのシード順位の決定方法
各リーグのプレーオフ進出6チームは以下のように順位付けされます。
- 第1・第2シード:各地区優勝3チームのうち成績上位2チーム
- 第3シード:残りの地区優勝チーム
- 第4・第5・第6シード:ワイルドカード3チーム(成績順)
第1・第2シードはワイルドカード・シリーズを免除され、ディビジョン・シリーズから参戦します。
勝率で並んだ場合は直接対決の成績でシード順位が決定します
MLBプレーオフ出場チームの決まり方【地区優勝&ワイルドカード】

地区優勝チーム(3チーム)
MLBでは地区制が導入されており、両リーグは以下の3地区に分かれています。
- 東地区(East Division)
- 中地区(Central Division)
- 西地区(West Division)
各地区の勝率1位チームが地区優勝となり、自動的にプレーオフ出場権を獲得します。
ワイルドカード(3チーム)
地区優勝を逃したチームの中から、レギュラーシーズンの勝率上位3チームがワイルドカードとしてプレーオフに進出します。同じ地区から複数チームがワイルドカードになることもあります。
タイブレーカー
同じ勝率のチームが複数ある場合、以下の順序で順位が決定されます。
- 直接対戦成績
- 地区内成績
- リーグ内成績
- 最後の30試合の成績(以降1試合ずつ遡る)
2024年のナ・リーグ、ワイルドカード争いはサンディエゴ・パドレスが1位となり、残り2枠を争うアトランタ・ブレーブス、ニューヨーク・メッツ、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの3チームが89勝73敗と同率で並びました。
ここでタイブレーカーのルールが適用され、ブレーブスとメッツは共にレギュラーシーズンでダイヤモンドバックスに直接対決で勝ち越していたため、ダイヤモンドバックスはワイルドカード枠から脱落。
さらにブレーブスはメッツに直接対決で勝ち越していたため、ワイルドカード2位がブレーブス、3位メッツとなりました。
プレーオフ進出を狙うチームの戦略

プレーオフ出場を狙うチームにとって、シーズン後半の戦い方は非常に重要です。特に7月末のトレードデッドラインでは、多くのチームが補強を図り、プレーオフ進出をかけて勝負に出ます。
優勝・プレーオフを目指すチームは「買い手」となって実力のある選手を獲得し、逆に再建中のチームや翌シーズン以降の勝負に舵を切ったチームは「売り手」として将来有望な若手を集める傾向にあります。
トレードデッドラインは以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
MLBプレーオフ2025のトーナメント形式の詳細は?

プレーオフの4ラウンド制について、各シリーズの特徴について解説します。
ワイルドカード・シリーズ(3試合制)
参加チーム:各リーグの第3〜第6シード(4チーム)で実施されます。
対戦カード
- 第3シード vs 第6シード
- 第4シード vs 第5シード
• 最大3試合2試合先取制
• 上位シードのホーム球場で全試合開催
• 一発勝負の要素が強く、番狂わせが起こりやすい
ディビジョン・シリーズ(5試合制)
参加チーム:各リーグの第1・第2シードとワイルドカード・シリーズの勝者2チームが対戦します。
対戦カード:
• 第1シード vs ワイルドカード・シリーズ勝者(下位シード)
• 第2シード vs ワイルドカードシリーズ勝者(上位シード)
- 最大5試合3試合先取制
- 上位シードが最初の2試合と第5戦をホームで開催
リーグチャンピオンシップ・シリーズ(7試合制)
参加チーム:各リーグのディビジョン・シリーズ勝者2チーム
- 最大7試合4試合先取制
- レギュラーシーズンの成績上位チームが第1・2・6・7戦をホームで開催
- リーグ優勝とワールドシリーズ進出をかけた戦い
- 両リーグの優勝チームが決定
ワールド・シリーズ(7試合制)
参加チーム:ア・リーグ王者 vs ナ・リーグ王者
- 最大7試合4試合先取制
- レギュラーシーズン成績上位チームが第1・2・6・7戦をホームで開催
- 世界一決定戦
- MLBで最も注目される試合
MLBプレーオフの歴史と制度の変遷(1969年〜2025年現在)

制度の変遷
MLBプレーオフは時代とともに大きく変化してきました。
- 1969年以前:各リーグ優勝チームが直接ワールドシリーズで対戦
- 1969年〜1993年:各リーグを東西2地区に分割、地区優勝チーム同士がリーグチャンピオンシップ・シリーズで対戦
- 1994年〜2011年:3地区制導入、ワイルドカード1チーム追加
- 2012年〜2019年:ワイルドカード2チームに拡大、ワイルドカード・ゲーム(1試合制)導入
- 2020年:新型コロナウイルスによる短縮シーズンとなり16チーム参加の特別形式
- 2022年〜現在:現在の12チーム・4ラウンド制導入
現行制度の特徴

2022年からの現行プレーオフ制度の特徴をまとめました。ワイルドカード枠の拡大によりプレーオフ進出チームが増えたことでプレーオフの価値が下がるという意見もあり、賛否両論があるのも事実です。
- より多くのチームにプレーオフのチャンスがある
- レギュラーシーズン終盤まで激しい順位争いが続く
- ファンの関心を最後まで維持できる
- 上位シードの優遇により地区優勝の価値を維持
- プレーオフ進出チームの中の勝率下位チームによる下克上が期待できる
まとめ
MLBプレーオフは、レギュラーシーズンを勝ち抜いた精鋭12チームが世界一を目指すトーナメントです。
ワイルドカード・シリーズから始まり、ディビジョン・シリーズ、リーグチャンピオンシップ・シリーズを経て、最終的にワールド・シリーズで頂点が決まります。
各ラウンドには異なる特徴があり、短期決戦の醍醐味と長期戦の戦略性が絶妙にブレンドされています。
野球ファンにとってプレーオフは年間で最も盛り上がる時期であり、「オクトーバー・ベースボール」と呼ばれる所以もここにあります。プレーオフはレギュラーシーズンとは一味違う緊張感と興奮を味わうことが出来ます。
※この記事は2025年現在の情報に基づいて作成されています。MLBの制度は変更される可能性がありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。
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