ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、MLBを中心とした国際野球大会で、2026年大会が3月に開催されます。
WBCでは、参加選手の怪我リスクが高いため、保険制度が重要な役割を果たします。
特にMLBのスター選手は年俸が数十億円にのぼるため、万が一の怪我に備えたこの保険システムが、出場の可否を決定する最大の要因となります。
保険の制度は大会の安全性を確保する一方で、選手の参加を制限する側面もあります。
現在話題となっているのはプエルトリコ代表選手の保険問題です。
「WBCの保険ってどんな仕組み?」
「保険が承認されない原因は?」
「どうしてプエルトリコ代表が問題になっているの?」
WBCの保険についてはわからないことが多いですよね。
本記事ではWBCの保険問題について、WBCの保険の仕組みから保険問題を巡る過去の事例、プエルトリコの保険問題について解説していきます。
- WBCの保険の基本的な仕組み
- 保険問題を巡る過去の事例
- 保険審査の厳格化の背景
- プエルトリコ代表の保険問題
WBCの大会ルールや日程はこちらの記事で解説しています。
WBCの代表参加資格や各国の出場予定選手はこちらの記事で解説しています。
WBCの選手保険の基本的な仕組み

WBCに出場する40人枠ロスター選手(メジャー契約選手)は大会参加前に保険の承認が必要となります。
保険承認までの流れ
MLBとMLB選手会(MLBPA)がNFP(保険仲介会社)に保険を依頼。
NFPが保険会社(アンダーライター)を選出します。保険会社は各選手を個別審査して、保険が承認されるか否かを判定します。
保険の目的
選手がWBCの試合や練習中に怪我。故障者リスト(IL)入りとなり、シーズンで試合欠場した場合、保険会社が所属球団に対して選手の欠場期間の給与をカバーするための制度です。
- 選手がWBCで怪我をする。
- 怪我の影響でMLBの試合に出られなくなる(故障者リスト入り)。
- 故障者入り期間中も球団は選手に給料を払わなければならないが、保険会社がその給料分を補填する。
保険の適用外の条件
選手の保険適用外として以下の条件が挙げられます。
- 直近で手術を受けた選手
- 前シーズンに60日以上のIL入りした選手
- 慢性的な怪我の履歴がある選手
- 37歳以上の選手は保険が原則的に適用されない(新ルール)
具体的な承認基準は公開されていませんが、過去の怪我や手術歴などが大きく影響していると考えられます 。
保険会社の判断
保険会社は直近のシーズンでILに入っていたり、長期的な治療歴がある場合、保険会社はその患部の再発については保険金を支払わないと判断します。
保険適用外に対する球団の反応
例えば、もし保険がある選手の右肘は保険適用外と言った場合、球団は「もしWBCで右肘の故障を再発させたら、数十億円の損失を球団が丸被りすることになる。だから出場は許可できない」と判断を下すケースが多く見られます。
保険が得られない場合の選択肢
- 選手が自己負担で保険に加入して参加。
- MLB球団がリスクを負担し、出場を容認→参加(ただし、球団は一般的にこの選択肢を避けます)。
- 参加を辞退。
上記のいずれかのケースのうち、過去の事例から3の出場辞退となることが多い傾向です。
保険をめぐる過去の事例(2023年大会)
クレイトン・カーショウ
ドジャースのエースであるカーショウは、本人が強く出場を希望し、アメリカ代表入りも内定していました。
しかし、健康状態と保険の問題のため、無念の出場辞退となりました。
これは「球団が止めた」のではなく「保険が下りなかった」ケースです。
なお、カーショウは保険が非承認となったため、選択肢1の「自己負担で保険に加入」を検討しましたが、保険料が高額となることから、出場断念を決断したと報道されました。
ミゲル・カブレラ
タイガースのレジェンドであるミゲル・カブレラも高年齢・怪我のリスクは高く保険適用外となりました。
保険の詳細は不明ながら、球団の判断により、大会出場を容認。
カブレラは特例的なケースとなり、WBCにベネズエラ代表として出場しています。
保険審査の厳格化

保険の審査は2023年大会を境に審査が厳しくなったと言われています。
2023年大会ではプエルトリコ代表のエドウィン・ディアスが試合終了後のセレブレーションで右膝靱帯を断裂し、シーズンを全休。
同大会でベネズエラ代表のホセ・アルトゥーべが右手にデッドボールを受け右手親指を骨折。43試合を欠場しました。
この2つの事例により、保険会社は高額年俸の2人に対する多額の保険金を支払うことになり、保険料が高騰。審査が厳格化した背景となったと報道されています。
WBCにおけるプエルトリコの保険問題

2026年大会を前に、プエルトリコ代表チームが深刻な保険問題を抱えており、チームのWBC出場辞退を検討する事態に発展しています。
特にWBCの保険制度は透明性が低いと批判されており、保険承認の詳細が公開されていない点が問題視されています 。
プエルトリコ代表の具体的な問題
プエルトリコはWBCの強豪国で、過去大会で準優勝経験もありますが、2026年大会では保険承認が得られなかった選手が8人にも上り、チーム編成が難航しています 。
主な理由は選手の過去の怪我歴や手術歴とされており、保険承認可否の決定から最終ロスター提出までの期間が非常に短いことから、代替選手の確保が難しく、不満の声が上がっています 。
影響を受けた主な選手
• フランシスコ・リンドーア(ニューヨーク・メッツ)
• カルロス・コレア(ヒューストン・アストロズ)
• ホセ・ベリオス(トロント・ブルージェイズ)
• エミリオ・パガン(シンシナティ・レッズ)
以下、リンドーアとコレアの具体例を挙げて、保険適用外のパターンを説明します。
フランシスコ・リンドーアのケース
リンドーアの主な既往歴は以下の通りです。
- 直近のオフシーズンに右肘のデブリードメント手術を受けた。
- 以前も同じ右肘から骨棘除去手術を受けている。
- 過去のオフシーズンで右肘関連の手術が複数回。
保険適用外の理由
具体的な理由は明らかにされていませんが、リンドーアは2025年レギュラーシーズンで160試合出場と健康だったものの、オフシーズンの手術が保険適用外として承認されなかった可能性が示唆されています。
カルロス・コレアのケース
リンドーアと同じく保険適用外となり、承認されなかったコレアの主な既往歴は以下の通りです。
- 過去4シーズンで合計100試合以上欠場(足首、背中などの負傷)。
- 足首の手術歴が複数回あり。
保険適用外の理由
リンドーアと同じく具体的な理由は明らかにされていません。2025年シーズンは144試合に出場し、現在の健康状態は問題ないが、過去の故障歴が問題視されていると報道にあります。
保険適用外による出場不可を取り巻く問題
プエルトリコ代表の当初のロスター発表では、MLBのスター選手を含む強力な布陣が予定されていましたが、保険問題で大幅変更を余儀なくされています。
WBCの最終ロスターの提出期限は2月3日ですが、保険承認可否の決定がされたのは1月31日と直前であり、代替選手を用意するにはあまりにも時間がないことも問題視されています。
これによりプエルトリコ野球連盟のホセ・キレス会長はプエルトリコのWBC出場を辞退する可能性を示唆しました。
プエルトリコはWBC1次ラウンド、プールAの開催地です。もしプエルトリコ代表が大会出場辞退となると大会運営にも大きな影響を及ぼすことになります。
保険適用外基準の曖昧さ
また、ベネズエラのホセ・アルトゥーべやミゲル・ロハスも保険の問題により参加辞退を余儀なくされました。ロハスは「保険が適用されない例はアメリカや日本の選手にはない」と不満を述べています 。
このロハスの発言にあるように、アメリカ代表には保険適用外となり、出場辞退となった選手はほとんど報道されていません。
アメリカ代表にも故障歴がある選手はおり、保険適用外となったプエルトリコの選手と比較されています。
例えば、アーロン・ジャッジは2025年シーズン中に右肘の故障によりILに入りましたが、保険は承認されました。
また過去の故障歴が多いバイロン・バクストンも保険が承認され、保険適用の基準が曖昧で不公平であると批判の声が上がっています。
まとめ
WBCの保険の仕組みを整理すると以下のようになります。
- 基本カバー: メジャー契約の選手は保険に加入(怪我をしたら球団に給与補償)。
- 審査: 手術歴や過去に怪我をした箇所は、保険会社が「補償しない」と判定することがある。
- 結果: 「補償がないならリスクが高すぎて出せない」と球団が判断し、出場辞退となる。
WBCにおける「出場辞退」は、本人のやる気や球団の出場阻止などではなく、保険会社によるリスク査定によって決まっているケースが多いのが実情です。
2023年大会を境に保険料が高騰し、審査基準が厳しくなったと言われています。
保険を巡る問題点として、保険の適用外基準が曖昧で、保険が承認されない理由が明らかにされないため、不透明さが指摘されています。
近年のMLB選手の年俸高騰と、WBC大会中の怪我により長期離脱の事例は少なくないことから、補填する保険金が多額となることは保険の仕組み上、避けられません。
大会を継続し、今後の大会をより発展させるために、選手の保険をカバーする制度を見直す必要がありそうです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事が参考になれば幸いです。
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