【2025年版】MLBトレードデッドライン完全ガイド!仕組み・期限・トレード候補選手をわかりやすく解説

MLB

近年メジャーリーグ観戦をするようになった方が増え、「トレードデッドライン」という言葉を見聞きする機会が増えたのではないでしょうか?

MLBのトレードデッドラインっていつ?トレードデッドラインは何のためにあるの?

MLBではトレードによる選手移籍が活発に行われています。

トレードデッドラインはレギュラーシーズン後半戦の各チームの戦略と方向性を決定する重要なトレード期限です。

プレーオフ進出を狙うチーム主力選手を獲得し、再建期のチーム将来性のある若手選手や有望株を獲得するために主力選手を放出します。

この記事ではMLBのトレードの仕組みから2025年のトレード予想選手まで、トレードデッドラインについて徹底解説しています。

MLBファンとして知っておくべき知識を網羅的に解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

トレードデッドラインが設定されている理由

MLBにおけるトレードデッドライン(トレード期限)が設定されている主な理由は、シーズン終盤の戦力バランスを保ち各チームの戦略的な意思決定を明確にするためです。

トレードデッドライン以降は原則として選手の移籍が制限されるため、上位進出を狙うチームシーズン終盤に一方的に戦力を強化しすぎることを防ぎポストシーズンの公平性を保つ狙いがあります。

  • 2022年以降は「トレード・デッドライン=40人枠(ロスター内)選手トレードの完全な締切日」
  • 40人枠に入っていない選手(マイナー選手)はトレードデッドライン以降もトレード可能。

トレードデッドライン後の選手移動はウェーバー経由の譲渡のみ

トレードデッドライン後は、選手をウェーバー公示して他球団がクレームすれば、その選手の保有権、契約を引き継いで移籍することが可能です。

しかしトレードによる移籍はできません。

※獲得の申し出のこと

  • ウェーバー公示されると他球団が(通常48時間以内)にクレームを出すことができます。
  • 複数球団からクレームがあった場合は順位が下の球団が優先されます。

トレードの種類と仕組み

MLBにおけるトレードとは、チーム同士が選手の保有権利を交換することです。

日本のプロ野球における「トレード」と基本的な概念は同じですが、MLBでは規模や頻度において大きく異なります。

MLBでは年間を通じて数百件のトレードが成立し、特にトレードデッドライン直前には活発な動きが見られます。

2025年のトレードデッドラインはアメリカ東部時間7月31日午後6時(日本時間8月1日午前7時)に設定されており、この期限を過ぎるとレギュラーシーズン中のトレードは基本的に不可能になります。

トレードの最大の特徴は、選手だけでなく金銭や将来のドラフト指名権、さらには「後日指名選手(Player to be Named Later)」という特殊な形態も含めて交換が可能なことです。

これにより、チーム同士の交渉は非常に複雑かつ戦略的なものとなります。

選手同士のトレード

最も一般的なトレードの形態が選手同士のトレードです。

1対1の単純なトレードから、複数の選手が関わる大型トレードまで様々な規模があります。

選手間トレードでは、即戦力となるメジャーリーガー同士のトレードもあれば、ベテラン選手と将来性のある若手選手やマイナーリーグの有望株との交換も頻繁に行われます。

特に再建期のチームは主力選手を放出して将来のチーム強化につながる若手選手を複数獲得するケースが多く見られます。

交換される選手の価値を評価する際には、現在の成績だけでなく、年齢、契約年数、年俸、ポジションなど多様な要素が考慮されます。

金銭トレード

純粋に金銭のみでの選手獲得も可能です。比較的若手選手やマイナーリーグ選手の獲得に用いられることが多い手法です。

金銭トレードでは、獲得側チームが相手チームに現金を支払って選手を獲得します。

金額は選手の価値や市場価格によって決まりますが、通常は数万ドルから数十万ドル程度の範囲で取引されます。

また、選手交換に加えて金銭も含める「Cash Considerations」もあります。

これは、年俸の高い選手をトレードする際に、元のチームが新しいチームに対して年俸の一部を負担するケースなどで使用されます。

1回のトレードで動く金銭は100万ドル程度。それ以上はコミッショナー事務所の承認が必要とされている。

三角トレード

三角トレードは3つ以上のチームが関わる複雑なトレードです。

各チームが欲しい選手と放出したい選手の条件が直接的に合致しない場合に、第三のチームを介することで全てのチームの要望を満たすトレードを成立させます。

例えば、Aチームが投手を欲しがり、Bチームが内野手を欲しがり、Cチームが外野手を欲しがっている場合、AチームからCチームへ外野手、CチームからBチームへ内野手、BチームからAチームへ投手を送ることで、全てのチームの要望を満たすことができます。

三角トレードは調整が非常に複雑で時間がかかるため、頻繁に行われるわけではありませんが、トレードデッドライン前には大型の三角トレードが成立することもあります。

2024年のトレードデッドラインで行われた三角トレード

  • ドジャース獲得:トミー・エドマン(カージナルスから)、マイケル・コペック(ホワイト・ソックスから)、オリバー・ゴンザレス(カージナルスから)
  • カージナルス獲得:エリック・フェディ(ホワイトソックスから)、トミー・ファム(ホワイト・ソックスから)、将来指名選手or金銭(ドジャース)金銭(ホワイトソックスから)
  • ホワイトソックス獲得:ミゲル・バルガス(ドジャースから)、ジェラル・ペレス(ドジャースから)、アレクサンダー・アルバータス(ドジャースから)、将来指名選手or金銭(ドジャースから)

※将来指名選手は「後日指名選手 “Player to be named later”」と呼ばれ、トレード成立時点では具体的にどの選手がトレード相手となるか確定していない場合に用いられます。

将来の指名選手は通常トレード成立から6ヶ月以内に指名されることになっていますが、両球団間で指名選手の合意に至らない場合金銭で代替されます。

  • ドジャースがユーティリティプレイヤーとブルペン強化
  • カージナルスが先発とベテラン外野手を獲得
  • ホワイトソックスが将来性ある若手有望株を複数獲得

各球団のニーズが合致したトレードとなりました。

ブロックバスタートレード

ブロックバスタートレードとは、スター選手や主力選手が関わる大型トレードのことです。

通常、オールスター級の選手や年俸の高い選手、チームの顔となるような選手が移籍する際に使われる表現です。

このようなトレードは、関わる選手の数も多く、複数のマイナーリーグ有望株や将来のドラフト指名権なども含まれることが一般的です。

ブロックバスタートレードは球界全体に大きな衝撃を与え、ファンやメディアの注目を集めます。

これらのトレードは関わるチームの戦力バランスを大きく変える可能性があるため、リーグ全体の勢力図にも影響を与えます。

  • 2025年6月にレッドソックスとジャイアンツの間で行われたトレードがブロックバスタートレードに当たります。
  • このトレードではレッドソックスからジャイアンツラファエル・デバースがトレードされ大きな話題になりました。

契約内容の引き継ぎ

トレードによって選手が移籍した場合、基本的に既存の契約内容はそのまま新しいチームに引き継がれます

これには年俸、契約年数、各種オプション条項、ボーナス条項なども含まれます。

ただし、一部の契約には「No-Trade Clause(トレード拒否権)」特定のチームへのトレードを制限する条項が含まれている場合があります。

また、契約によっては移籍に伴って発動される特別な条項が設定されていることもあります。

新しいチームは、選手の残り契約年数と年俸を引き継ぐことになるため、トレード交渉では単純な選手の能力だけでなく、契約内容も重要な要素となります。

高額年俸の選手については、元のチーム年俸の一部を負担することで取引を成立させるケースもあります

契約に関する他のオプションについてはこちらの記事で解説しています。

トレード拒否権

MLBでは一定の条件を満たした選手にトレード拒否権が与えられることがあります。

トレード拒否権を獲得する主な方法は2つです。

「10-and-5 rights」の取得

主な条件は、メジャーリーグでの通算10年以上プレーし、かつ同一チームに5年以上在籍している選手です。

この条件を満たした選手は「10-and-5 rights」と呼ばれる権利を獲得し、自動的に全球団へのトレード拒否権を得ることができます。

ノートレード条項を盛り込む

また、契約内容にノートレード条項と呼ばれるトレード拒否権を盛り込む選手もいます。

条項の内容は部分的または全球団へのトレード拒否権などさまざまです。

特にスター選手や大型契約を結ぶ選手には、ノートレード条項が含まれるケースが多いです。

トレード拒否権を持つ選手がトレードされる場合は、事前に選手の同意を得る必要があります。

選手が拒否した場合、そのトレードは成立しません。ただし、選手が同意すれば通常通りトレードが実行されます。

選手のシーズン成績は引き継がれるか?

選手がトレードによって移籍した場合、個人成績はシーズンを通じて通算されます。

つまり、移籍前と移籍後の成績が合算されて、その年の個人成績として記録されます。

例えば、シーズン途中にトレードされた打者の場合、移籍前のチームでの打率、本塁打数、打点などと、移籍後のチームでの成績が合計され、シーズン最終的な個人成績となります。

  • 同一リーグチームへの移籍であれば、個人タイトル争いにも反映されます
  • リーグを跨ぐ移籍(ア・リーグ→ナ・リーグなど)の場合は移籍先のリーグでの成績のみがカウントされます。つまりホームランや打点争いにおいては不利になります。

買い手と売り手

トレードデッドライン前には、各チームは「買い手(Buyer)」と「売り手(Seller)」に分類されます。

この分類は、チームの現在の成績、プレーオフ進出の可能性、チーム戦略などによって決まります。

買い手チームの特徴

買い手チームは、主にプレーオフ進出を目指しているチームです。

これらのチームは、短期的な戦力向上を図るために、ベテラン選手や即戦力となる選手の獲得積極的に行います。

買い手チームの典型的な戦略は、弱点となっているポジションの補強や、ローテーション投手の追加リリーフ投手の充実などです。

これらのチームは、将来性のある若手選手マイナーリーグの有望株を放出しても、今シーズンの勝利を優先する傾向があります。

トレードデッドライン直前ワイルドカード圏内にいるチームや、地区優勝に手が届く位置にいるチームは買い手チームとなり積極的なトレードを行います

売り手チームの特徴

売り手チームは、主に今シーズンのプレーオフ進出が困難で、将来に向けた再建を優先するチームです。

これらのチームは、主力選手やベテラン選手を放出して、将来性のある若手選手やマイナーリーグの有望株を獲得する戦略を取ります。

売り手チームの目的は、短期的な成績よりも長期的なチーム強化です。

契約年数の残り少ないベテラン選手や、高額年俸の選手を放出することで、年俸負担を軽減し、同時に将来のチーム戦力となる若手選手を獲得します。

売り手チームの判断は、現在の成績だけでなく、チームの年齢構成年俸構造ファームシステムの状況なども考慮されます。

トレードデッドライン直前で成績がそれほど悪くないチームでも、長期的な視点から売り手に回ることもあります。

2025年のトレードデッドライン注目トレード候補選手7人

2025年のトレードデッドラインに向けて、すでに多くの選手がトレード候補として注目されています。

現在シーズン勝率がリーグ下位チームから、注目のトレード候補を紹介します。

※選手の成績・指標は執筆時のものです。最新のデータをご確認ください。

ルイス・ロバートJr. (シカゴ・ホワイトソックス)ー CF

シカゴ・ホワイトソックスの外野手ルイス・ロバートJr.は、2025年のトレード市場で注目される選手の一人です。

ホワイトソックスは昨シーズンほどではありませんが、ア・リーグ中地区最下位に沈み、ワイルドカード圏内まで15ゲームほど離れており、ロバートJr.の放出の確率は高いと見られています。

ロバートJr.は2023年に38HRを放ちブレイクしましたが、2024年は怪我の影響もあり100試合の出場にとどまりました。

今季はwRC+63と打撃でパフォーマンスを落としています。

しかしながら守備と走塁面では一定のパフォーマンスを見せています。

まだ27歳とパフォーマンスを上げる可能性も秘めており、獲得に乗り出すチームはありそうです。

サンディ・アルカンタラ(マイアミ・マーリンズ)ー SP

マイアミ・マーリンズのサンディ・アルカンタラは、2022年のサイ・ヤング賞受賞者で、実績十分の右腕投手です。

2023年にトミージョン手術を受け、今季は復帰シーズンとなりましたが、ここまでは大きくパフォーマンスを落としています。

アルカンタラの契約はオプションを含め、残り2年

サイ・ヤング賞受賞投手としては年俸もそこまで高額ではないため、先発を求めるチームの獲得はありそうですが、市場価値の低下により、本来獲得できたであろう見返りのパッケージが期待できないとなると、トレードが成立しない可能性もあります。

ライアン・オハーン(ボルティモア・オリオールズ)ー 1B/DH

オリオールズは開幕から続出する負傷者と投壊によりア・リーグ東地区最下位に低迷。

一時期よりは持ち直したものの、依然借金は10を超えており、ワイルドカード圏内まで7ゲーム程度と厳しい状況が続いています。

売り手に回った場合、トレードの可能性が高いのは契約が今季限りとなるライアン・オハーンです。

オハーンはここまでwRC+144と素晴らしいパフォーマンスを見せており、オリオールズとしては市場価値の高まっている段階で売り切りたいところです。

ジェイク・バード(コロラド・ロッキーズ)ー RP

バードは今季ここまでキャリアハイペースのシーズンを送っています。

ロッキーズは開幕から低迷し、昨年のホワイトソックスをさらに下回るペースで負け越しており、バードがトレードされる可能性は高くなっています。

プレーオフ争いをしているチームでリリーフを強化したいチームにとっては、非常に魅力的な選手です。

保有期間も3年残っており、獲得に乗り出すチームは多いのではないでしょうか。

デイビッド・べドナー(ピッツバーグ・パイレーツ) ー RP

パイレーツは開幕からナ・リーグ中地区最下位に低迷。

プレーオフ圏内まで10ゲーム近く離れており、売り手に回る可能性が濃厚です。

トレード候補の1人、リリーフ投手のべドナーは、ここまで防御率2.83と見事にバウンスバック。

奪三振率35.3%はキャリアハイペースで、支配力のあるリリーフ投手は魅力的です。

カイル・フィネガン(ワシントン・ナショナルズ)ー RP

ナショナルズは6月に大型連敗もあり、ナ・リーグ東地区最下位に後退。

売り手に回る可能性が高まりましたが、放出する可能性があるのは契約が今季限りとなるクローザーのカイル・フィネガンです。

昨シーズンもトレード候補だったフィネガン。今季は昨シーズンより好成績を残していますが、ナショナルズはフィネガンを売り切ることができるのでしょうか。

菅野智之(ボルティモア・オリオールズ)ー SP

前半戦はオリオールズのローテーションを支えた菅野ですが、6月8日以降の登板では5イニング以下で3失点以上と打ち込まれる場面が増えてきました。

パフォーマンスは落ちていますが、今季のトレードデッドラインは先発投手が少なく、チームメイトのチャーリー・モートンと共にトレード候補の1人に名前が挙がっています。

まとめ

MLBのトレードデッドラインは、各チームの戦略を大きく左右する重要な期限です。

プレーオフ進出を目指すチームは積極的に戦力補強を図り、再建期のチームは将来に向けた選手獲得を優先。

トレードの仕組みは複雑で、選手交換だけでなく金銭や将来の指名権なども含めた多様な取引が行われます。

契約内容の引き継ぎやトレード拒否権など、理解しておくべき重要なルールも存在します。

MLBファンとして、トレードデッドラインの仕組みと注目選手を理解することで、シーズン後半戦をより深く楽しむことができるでしょう。

今後も各チームの動向と選手の去就に注目して、アメリカ東部時間7月31日午後6時(日本時間8月1日午前7時)のトレードデッドラインを見守りましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント欄にあなたの予想するトレード候補選手を教えてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました