本記事にはプロモーション・アフィリエイトリンクが含まれています
みなさん、こんにちは!Chanです。
佐々木朗希の防御率は4.64。
この数字だけを見れば「苦戦している」という見出しで終わってしまいます。
しかし、登板を一試合ずつ丁寧に読み解いていくと、少し違う景色が浮かび上がってきます。
6月5日に4.03まで下げた防御率は、その後の被弾で7月2日に5.40まで悪化。しかし後半戦に入って流れが変わりました。7月17日のヤンキース戦で5.2回無失点、24日のメッツ戦は7回1失点9奪三振、30日のマリナーズ戦も5.1回2失点と好投を続け、2勝を挙げて防御率を4.64まで戻しています。
地力を示すxERAは4.22で、防御率4.64よりさらに低い水準。リリースポイントの長さ(Extension 94パーセンタイル)という武器も健在です。
データが映すのは、一度上向いた成長曲線と、直近で再浮上した長打という宿題です。
この記事では、FanGraphs・Baseball Savantの最新データをもとに、2026年の佐々木朗希をセイバーメトリクスの視点から徹底的に読み解きます。
📊 この記事でわかること
- 登板別データで見る成長曲線と直近の足踏みの実態
- スプリットが”世界クラス”である理由
- フォーシームが課題になっている構造的な原因
- Extension 94パーセンタイルという隠れた超強み
- シーズン後半に向けた現実的な展望
2026年 佐々木朗希の全成績(7月31日時点)
まず全体の数字を整理します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 登板 | 19試合 |
| 勝敗 | 5勝5敗 |
| 投球回 | 99.0回 |
| 防御率(ERA) | 4.64 |
| 期待防御率(xERA) | 4.22 |
| FIP | 5.02 |
| WHIP | 1.30 |
| K/9 | 9.18 |
| BB/9 | 3.55 |
防御率は6月初旬に4.03まで下げ、開幕当初の不振から一度はリーグ平均近くまで立て直しました。しかし6月中旬から7月上旬にかけて被弾で崩れ、後半戦の好投で4.64まで戻し、リーグ平均(約4.20前後)に近づきつつあります。
FIP(Fielding Independent Pitching:守備と運の影響を除いた投手の実力を示す指標)は5.02で、こちらは平均を上回ります。被本塁打の多さ(HR/9 1.82・被本塁打20本)がFIPを押し上げており、長打の抑制が課題として残っています。
注目したいのは、xERA 4.22とxFIP 4.10という2つの数値です。どちらも実際の防御率4.64より低く、内容は結果以上に良くなってきていることを示しています。とくにフライの運を平均化したxFIPが4.10まで下がっており、三振・四球の土台は着実に改善しています。
BABIP(Batting Average on Balls in Play)とは打球がヒットになる確率のこと。
BABIPは.271とリーグ平均(約.295前後)をやや下回る水準です。それでも失点がかさんでいる主因は、被本塁打の多さにあります。
つまり、6月中旬以降に長打で崩れた内容が、後半戦に入って再び上向いてきたのが現在地です。xFIP 4.10が示す基礎能力を結果につなげられるかは、引き続き長打をどう減らすかにかかっています。
登板別データで見る成長曲線と直近の足踏み
ここからが本題です。登板ごとのデータを並べると、単純な苦戦という言葉では片付けられない事実が見えてきます。
| 日付 | 対戦 | 投球回 | 自責点 | ERA | 奪三振 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3/30 | CLE | 4.0 | 1 | 2.25 | 4 |
| 4/5 | WSN | 5.0 | 6 | 10.80 | 5 |
| 4/12 | TEX | 4.0 | 2 | 4.50 | 6 |
| 4/19 | COL | 4.2 | 3 | 5.79 | 2 |
| 4/25 | CHC | 5.0 | 4 | 7.20 | 5 |
| 5/2 | STL | 6.0 | 3 | 4.50 | 4 |
| 5/11 | SF | 5.0 | 3 | 5.40 | 5 |
| 5/17 | LAA | 7.0 | 1 | 1.29 | 8 |
| 5/23 | MIL | 5.0 | 2 | 3.60 | 4 |
| 5/30 | PHI | 5.1 | 1 | 1.69 | 7 |
| 6/5 | LAA | 7.0 | 0 | 0.00 | 10 |
| 6/12 | CWS | 4.1 | 7 | 14.54 | 4 |
| 最新6/19 | BAL | 5.2 | 3 | 4.76 | 6 |
| 6/26 | SD | 4.0 | 3 | 6.75 | 2 |
| 7/2 | SD | 3.0 | 6 | 18.00 | 3 |
| 7/8 | COL | 6.0 | 3 | 4.50 | 5 |
| 7/17 | NYY | 5.2 | 0 | 0.00 | 5 |
| 7/24 | NYM | 7.0 | 1 | 1.29 | 9 |
| 7/30 | SEA | 5.1 | 2 | 3.38 | 7 |
注目してほしいのは投球回のトレンドです。
投球回の明確な上昇トレンド
4.0回 → 5.0回 → 4.0回 → 4.2回 → 5.0回 → 6.0回 → 5.0回 → 7.0回 → 5.0回
5月17日(LAA)では、今季最長となる7.0回を1失点・8奪三振にまとめる好投を見せました。
開幕当初は4回で降板していた投手が、7回を投げ切る試合も出てきました。6月下旬〜7月上旬は3〜4回降板が続きましたが、後半戦の3登板はいずれも5回以上を投げており、イニングの安定感が戻ってきています。
これは少しずつ投球内容が修正されてきていることの現れです。
📊 POINT: 序盤は失点が先行しつつERAを5.97から4.03まで改善。6月中旬〜7月上旬に5.40まで後退したが、後半戦は7/17(NYY)5.2回無失点、7/24(NYM)7回1失点9奪三振、7/30(SEA)5.1回2失点と3試合連続で好投し、2勝を挙げてERAを4.64まで戻している。
後半戦でとくに目立ったのが7月24日のメッツ戦(7回1失点9奪三振・94球)です。今季最長タイの7回を投げ切り、奪三振は今季2番目の多さ。課題だった長打を1本に抑えながら三振を積み上げた、投球内容と結果が噛み合った一戦でした。

世界クラスのスプリット——唯一無二の決め球
佐々木朗希の最大の武器は、言わずと知れたスプリッター(フォーク系)です。
2026年のデータはその威力を数値で明確に証明しています。
| 球種 | 球速 | 使用率 | Whiff% | PutAway% |
|---|---|---|---|---|
| 4-Seam フォーシーム | 97.8 mph | 42% | 20.2% | 17.4% |
| SPLIT スプリット | 90.2 mph | 36% | 36.6% | 19.5% |
| SL スライダー | 86.6 mph | 22% | 39.3% | 24.1% |
Whiff%(空振り率)36.6%。
これは全投手の中でも上位クラスの数値です。
PutAway%(2ストライクからの三振奪取率)も19.5%と機能しており、「2ストライクに追い込んでからスプリットで締める」という決め球としての役割を果たしています。
さらに、スプリットの被打率はわずか.153、wOBA(打者の打撃価値を総合評価する指標。.320前後がMLB平均)は.231と、打者から見れば手が出ない領域の球となっています。
もう一点注目したいのが2025年との球種構成の変化です。
| 球種 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|
| フォーシーム | 49.9% | 42.2% |
| スプリット | 33.5% | 36.2% |
| スウィーパー | 16.3% | 廃止 |
| スライダー | — | 21.5%NEW |
2025年まで使っていたスウィーパーを廃止し、代わりにスライダー(86.6 mph)を新たに導入しています。
このスライダーのWhiff%は39.3%と、スプリットを上回る高さです。
フォーシーム・スプリット・スライダーの三角形が完成すれば、打者はより対応が難しくなります。
最大の課題:フォーシームの精度向上
現時点での最大の課題はフォーシームです。
実際、FanGraphsのLocation+(狙った場所にどれだけ投げられているかを示す指標。100が平均)で見ると、佐々木の制球は2025年の91から2026年は99へと改善しました。
スプリットが91→105、スライダーが82→100と精度を大きく上げた一方で、フォーシームのLocation+は96と平均を下回ったままです。
球そのものの質を示すStuff+が110と平均以上にある分、このフォーシームの制球が整えば、投球全体の安定感はさらに増しそうです。
| 球種 | Run Value (RV/100) | 被打率 | 被長打率 | 被wOBA |
|---|---|---|---|---|
| フォーシーム | -1.4(累計-10) | .319 | .600 | .434 |
| スプリット | +0.5(累計+3) | .153 | .307 | .231 |
| スライダー | -0.6(累計-2) | .239 | .522 | .353 |
Run Value(RV/100)が-1.4というのは、フォーシームを100球投げると平均より1.4点多く失点していることを意味します。
被長打率は.600と依然高めで、フォーシームを痛打される場面が残っているのは確かです。
2025年はフォーシームのRV/100が+0.3(ほぼ平均)だったことを考えると、何かが変わっています。
考えられる原因は主に二つです。
①リリースポイントの微妙なズレ
Statcast(スタットキャスト)のデータでは、「リリース高の低下」が複数メディアで指摘されています。
97 mphの球速がありながら被打率が高い背景には、同じ球でも微妙なコース・タイミングのズレが生じている可能性があります。
②打者側のデータ蓄積
メジャー1年目は全打者にとって「初対戦」です。
2年目ともなれば配球パターンや球の軌道への分析が進む。「慣れ」の影響が出やすい時期でもあります。
ただし、救いは後半戦の3登板(7/17・7/24・7/30)で18回2/3を3失点に抑えていることです。フォーシームの被打率は高いままですが、投球全体は明らかに良い方向へ動いています。
Extension 94パーセンタイルという「隠れた超強み」
佐々木朗希のStatcastで特に際立つ数値がExtension(リリースポイントの前方距離):94パーセンタイル、7.1フィートです。
Extensionとは、投手がリリースした瞬間のプレートからの距離。
この数値が大きいほど、打者にとっては「ボールが突然前に現れる」ような感覚になり、体感速度が実速度より速く感じられます。
94パーセンタイルは全投手の上位6%に位置します。
97.8 mphのフォーシームがさらに速く感じられるということ。
これは「フォーシームの課題」と表裏一体の強みでもあります。
現状の制球課題を克服した時、このExtensionが真価を発揮します。
⚡ POINT: Extension 94パーセンタイル + Fastball Velo 87パーセンタイル = 打者が対応できないレベルの体感球速。フォーシームの制球が整えば、この組み合わせは強力な武器になる。
今後の展望——シーズン後半への期待
現時点の佐々木朗希を整理すると、こういう構図です。
MLB1年目(2025年)の佐々木は8試合・36.1回でxFIP 4.95という数字を残し、可能性の片鱗を見せていました。
2年目の今シーズンは「慣れ」と「課題への対応」が同時進行している状況です。
そして後半戦の3登板は、7/17(NYY)5.2回無失点、7/24(NYM)7回1失点9奪三振、7/30(SEA)5.1回2失点と安定感が戻ってきました。とくにメッツ戦の9奪三振は、今季の充実ぶりを示す投球でした。
大谷翔平も山本由伸も、メジャーデビュー後の初年度から2年目にかけて試行錯誤を経ています。
フォーシームの精度向上、BB%の改善で自ずと投球回も長くなってくるでしょう。
月額600円で野球だけでなく映画・ドラマも見放題。

日本人選手の最新のケガ・離脱状況と復帰の見込みは、こちらの記事で毎週まとめています。

まとめ:佐々木朗希 2026——数字の向こうに見えるもの
2026年7月31日時点の佐々木朗希を、データが示す事実としてまとめます。
- ✅ 今季最長は7.0回(5/17・6/5・7/24)。後半戦は5回以上を安定して投げられている
- ✅ 後半戦は3登板で18回2/3を3失点、2勝を挙げてERAを4.64まで改善
- ✅ スプリットのWhiff% 36.6%は世界クラスの決め球として機能中
- ✅ スライダー導入で三球種の組み合わせが成立しつつある
- ✅ Extension 94パーセンタイルという規格外のリリース優位性
- ⚠️ フォーシームのRV/100 -1.4・被本塁打20本は引き続き最大の課題
表面の数字だけを見れば「苦戦」ですが、登板ごとの軌跡をたどると、前進と後退を繰り返しながら、後半戦に入って再び上向いてきた起伏が見えてきます。xFIP 4.10が示すとおり、三振と四球の土台はむしろ良くなっています。
シーズンはまだ前半。7.0回まで投げられるようになった佐々木朗希が、フォーシームの制球を取り戻した時。
かつて日本球界を席巻した支配的なピッチングを、メジャーの舞台でどこまで取り戻せるか。長打の抑制が、その鍵を握りそうです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が参考になれば幸いです。

大谷翔平の2026年二刀流データをより詳しく知りたい方はこちら👇

FAQ
同じドジャースで投げる山本由伸の2026年成績も、データで徹底解説しています。

参考
Baseball Savant
FanGraphs



コメント