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みなさん、こんにちは!Chanです。
佐々木朗希の防御率は4.03。
この数字だけを見れば「苦戦している」という見出しで終わってしまいます。
しかし、登板を一試合ずつ丁寧に読み解いていくと、少し違う景色が浮かび上がってきます。
登板ごとに安定感が増しています。5/17(LAA)と6/5(LAA)で今季最長の7.0回をマーク。特に6/5は7回0失点10奪三振の快投で、防御率を一気に4.03まで下げました。
ERAとほぼ一致するxERA 4.18が示す、運に頼らない内容改善の軌跡。そして、94パーセンタイルという高水準が裏打ちするリリースポイントの優位性。
データは”苦戦”ではなく、静かな右肩上がりを示しています。
この記事では、FanGraphs・Baseball Savantの最新データをもとに、2026年の佐々木朗希をセイバーメトリクスの視点から徹底的に読み解きます。
📊 この記事でわかること
- 登板別データで見る「確実な成長曲線」の実態
- スプリットが”世界クラス”である理由
- フォーシームが課題になっている構造的な原因
- Extension 94パーセンタイルという隠れた超強み
- シーズン後半に向けた現実的な展望
2026年 佐々木朗希の全成績(6月7日時点)
まず全体の数字を整理します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 登板 | 11試合 |
| 勝敗 | 3勝3敗 |
| 投球回 | 58.0回 |
| 防御率(ERA) | 4.03 |
| 期待防御率(xERA) | 4.18 |
| FIP | 4.58 |
| WHIP | 1.26 |
| K/9 | 9.31 |
| BB/9 | 3.26 |
防御率4.03はリーグ平均(約4.20前後)をやや下回る水準まで戻し、開幕当初の不振からしっかり立て直してきています。
FIP(Fielding Independent Pitching:守備と運の影響を除いた投手の実力を示す指標)も5.19と、まだ平均より高めですが、こちらも低下傾向にあります。
注目したいのは、xERA 4.18・BABIP .276という数値です。xERAは実際の防御率4.03に近く、好調が運だけによるものではなく、投球内容そのものが改善していることを示しています。
BABIP(Batting Average on Balls in Play)とは打球がヒットになる確率のこと。
BABIPはリーグ平均(約.295前後)よりやや低い.276で、極端な不運があったわけではないことを示しています。
つまり、開幕当初の失点は運のせいではなく投球内容そのものに課題があり、その内容が登板を重ねるごとに実際に改善してきている、という見方ができます。
登板別データで見る「確実な右肩上がり」
ここからが本題です。登板ごとのデータを並べると、単純な苦戦という言葉では片付けられない事実が見えてきます。
| 日付 | 対戦 | 投球回 | 自責点 | ERA | 奪三振 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3/30 | CLE | 4.0 | 1 | 2.25 | 4 |
| 4/5 | WSN | 5.0 | 6 | 10.80 | 5 |
| 4/12 | TEX | 4.0 | 2 | 4.50 | 6 |
| 4/19 | COL | 4.2 | 3 | 5.79 | 2 |
| 4/25 | CHC | 5.0 | 4 | 7.20 | 5 |
| 5/2 | STL | 6.0 | 3 | 4.50 | 4 |
| 5/11 | SF | 5.0 | 3 | 5.40 | 5 |
| 5/17 | LAA | 7.0 | 1 | 1.29 | 8 |
| 5/23 | MIL | 5.0 | 2 | 3.60 | 4 |
| 5/30 | PHI | 5.1 | 1 | 1.69 | 7 |
| 最新6/5 | LAA | 7.0 | 0 | 0.00 | 10 |
注目してほしいのは投球回のトレンドです。
投球回の明確な上昇トレンド
4.0回 → 5.0回 → 4.0回 → 4.2回 → 5.0回 → 6.0回 → 5.0回 → 7.0回 → 5.0回
5月17日(LAA)では、今季最長となる7.0回を1失点・8奪三振にまとめる好投を見せました。
開幕当初は4回で降板していた投手が、7回を投げ切れるようになってきました。
これは少しずつ投球内容が修正されてきていることの現れです。
📊 POINT: 序盤は失点が先行したが、ERAは5.97から4.03まで改善。直近の6/5(LAA)では7.0回0失点10奪三振と、登板を重ねるごとに投球内容が良くなっている。

世界クラスのスプリット——唯一無二の決め球
佐々木朗希の最大の武器は、言わずと知れたスプリッター(フォーク系)です。
2026年のデータはその威力を数値で明確に証明しています。
| 球種 | 球速 | 使用率 | Whiff% | PutAway% |
|---|---|---|---|---|
| 4-Seam フォーシーム | 97.0 mph | 44% | 18.1% | 11.1% |
| SPLIT スプリット | 87.7 mph | 36% | 33.8% | 18.2% |
| SL スライダー | 86.3 mph | 21% | 40.8% | 28.6% |
Whiff%(空振り率)33.8%。
これは全投手の中でも上位クラスの数値です。
PutAway%(2ストライクからの三振奪取率)も18.2%と機能しており、「2ストライクに追い込んでからスプリットで締める」という決め球としての役割を果たしています。
さらに、スプリットの被打率はわずか.194、wOBA(打者の打撃価値を総合評価する指標。.320前後がMLB平均)は.287と、打者から見れば手が出ない領域の球となっています。
もう一点注目したいのが2025年との球種構成の変化です。
| 球種 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|
| フォーシーム | 49.9% | 43.7% |
| スプリット | 33.5% | 35.7% |
| スウィーパー | 16.3% | 廃止 |
| スライダー | — | 20.6%NEW |
2025年まで使っていたスウィーパーを廃止し、代わりにスライダー(86.3 mph)を新たに導入しています。
このスライダーのWhiff%は40.8%と、スプリットを上回る高さです。
フォーシーム・スプリット・スライダーの三角形が完成すれば、打者はより対応が難しくなります。
最大の課題:フォーシームの精度向上
現時点での最大の課題はフォーシームです。
実際、FanGraphsのLocation+(狙った場所にどれだけ投げられているかを示す指標。100が平均)で見ると、佐々木の制球は2025年の91から2026年は99へと改善しました。
スプリットが91→105、スライダーが82→100と精度を大きく上げた一方で、フォーシームのLocation+は96と平均を下回ったままです。
球そのものの質を示すStuff+が106と平均以上にある分、このフォーシームの制球が整えば、投球全体の安定感はさらに増しそうです。
| 球種 | Run Value (RV/100) | 被打率 | 被長打率 | 被wOBA |
|---|---|---|---|---|
| フォーシーム | -1.7(累計-6) | .337 | .590 | .436 |
| スプリット | -0.6(累計-2) | .194 | .388 | .287 |
| スライダー | -0.2(累計0) | .207 | .379 | .315 |
Run Value(RV/100)が-1.7というのは、フォーシームを100球投げると平均より1.7点多く失点していることを意味します。
被長打率は.590と依然高めで、フォーシームを痛打される場面が残っているのは確かです。
2025年はフォーシームのRV/100が+0.3(ほぼ平均)だったことを考えると、何かが変わっています。
考えられる原因は主に二つです。
①リリースポイントの微妙なズレ
Statcast(スタットキャスト)のデータでは、「リリース高の低下」が複数メディアで指摘されています。
97 mphの球速がありながら被打率が高い背景には、同じ球でも微妙なコース・タイミングのズレが生じている可能性があります。
②打者側のデータ蓄積
メジャー1年目は全打者にとって「初対戦」です。
2年目ともなれば配球パターンや球の軌道への分析が進む。「慣れ」の影響が出やすい時期でもあります。
ただし、救いは直近の5/17・5/23の2登板でフォーシームの被打球の質が改善されつつあることです。今後さらに良くなる余地は十分にあります。
Extension 94パーセンタイルという「隠れた超強み」
佐々木朗希のStatcastで特に際立つ数値がExtension(リリースポイントの前方距離):94パーセンタイル、7.1フィートです。
Extensionとは、投手がリリースした瞬間のプレートからの距離。
この数値が大きいほど、打者にとっては「ボールが突然前に現れる」ような感覚になり、体感速度が実速度より速く感じられます。
94パーセンタイルは全投手の上位6%に位置します。
97.0 mphのフォーシームがさらに速く感じられるということ。
これは「フォーシームの課題」と表裏一体の強みでもあります。
現状の制球課題を克服した時、このExtensionが真価を発揮します。
⚡ POINT: Extension 94パーセンタイル + Fastball Velo 87パーセンタイル = 打者が対応できないレベルの体感球速。フォーシームの制球が整えば、この組み合わせは強力な武器になる。
今後の展望——シーズン後半への期待
現時点の佐々木朗希を整理すると、こういう構図です。
MLB1年目(2025年)の佐々木は8試合・36.1回でxFIP 4.95という数字を残し、可能性の片鱗を見せていました。
2年目の今シーズンは「慣れ」と「課題への対応」が同時進行している状況です。
ただし、直近の5/17(LAA)が示した7.0回1失点8奪三振という内容は、方向性が正しい証拠でもあります。
大谷翔平も山本由伸も、メジャーデビュー後の初年度から2年目にかけて試行錯誤を経ています。
フォーシームの精度向上、BB%の改善で自ずと投球回も長くなってくるでしょう。
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日本人選手の最新のケガ・離脱状況と復帰の見込みは、こちらの記事で毎週まとめています。

まとめ:佐々木朗希 2026——数字の向こうに見えるもの
2026年6月7日時点の佐々木朗希を、データが示す事実としてまとめます。
- ✅ 投球回が登板ごとに増加し、今季最長は7.0回(5/17 LAA)
- ✅ 5/17(LAA)は7.0回1失点8奪三振と今季最高の投球内容
- ✅ スプリットのWhiff% 33.8%は世界クラスの決め球として機能中
- ✅ スライダー導入で三球種の組み合わせが成立しつつある
- ✅ Extension 94パーセンタイルという規格外のリリース優位性
- ⚠️ フォーシームのRV/100 -1.7は改善傾向だが引き続き課題
表面の数字だけを見れば「苦戦」ですが、登板ごとの軌跡をたどれば「着実な前進」が見えます。
シーズンはまだ前半。7.0回まで投げられるようになった佐々木朗希が、フォーシームの制球を取り戻した時。
かつて世界に衝撃を与えた「令和の怪物・佐々木朗希」の姿を取り戻すことになるでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が参考になれば幸いです。

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参考
Baseball Savant
FanGraphs



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