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みなさん、こんにちは!Chanです。
佐々木朗希の防御率は4.03。
この数字だけを見れば「苦戦している」という見出しで終わってしまいます。
しかし、登板を一試合ずつ丁寧に読み解いていくと、少し違う景色が浮かび上がってきます。
5/17(LAA)と6/5(LAA)で今季最長の7.0回をマーク。特に6/5は7回0失点10奪三振の快投で、防御率を一気に4.03まで下げました。ただし6/12(CWS)と6/19(BAL)の2登板では被弾が重なり、防御率は4.76まで戻っています。
地力を示すxERAは4.29で、防御率4.76よりやや低い水準。運に大きく頼った数字ではないことがうかがえます。リリースポイントの長さ(Extension 94パーセンタイル)という武器も健在です。
データが映すのは、一度上向いた成長曲線と、直近で再浮上した長打という宿題です。
この記事では、FanGraphs・Baseball Savantの最新データをもとに、2026年の佐々木朗希をセイバーメトリクスの視点から徹底的に読み解きます。
📊 この記事でわかること
- 登板別データで見る成長曲線と直近の足踏みの実態
- スプリットが”世界クラス”である理由
- フォーシームが課題になっている構造的な原因
- Extension 94パーセンタイルという隠れた超強み
- シーズン後半に向けた現実的な展望
2026年 佐々木朗希の全成績(6月20日時点)
まず全体の数字を整理します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 登板 | 13試合 |
| 勝敗 | 3勝4敗 |
| 投球回 | 68.0回 |
| 防御率(ERA) | 4.76 |
| 期待防御率(xERA) | 4.29 |
| FIP | 4.80 |
| WHIP | 1.29 |
| K/9 | 9.27 |
| BB/9 | 3.31 |
防御率は6月初旬に4.03まで下げ、開幕当初の不振から一度はリーグ平均近くまで立て直しました。ただし6月中旬の2登板でつまずき、現在は4.76とリーグ平均(約4.20前後)をやや上回る位置に戻っています。
FIP(Fielding Independent Pitching:守備と運の影響を除いた投手の実力を示す指標)は4.80で、こちらも平均よりやや高めです。被本塁打の多さ(HR/9 1.72)がFIPを押し上げており、長打の抑制が課題として残っています。
注目したいのは、xERA 4.29という数値です。実際の防御率4.76よりやや低く、直近2登板の失点は本来の実力以上にかさんだ面もうかがえます。地力は中位クラスにあり、内容が運だけで決まっているわけではありません。
BABIP(Batting Average on Balls in Play)とは打球がヒットになる確率のこと。
BABIPはリーグ平均(約.295前後)を下回る.235で、打球がヒットになりにくい状態は続いています。それでも失点がかさんでいる主因は、被本塁打の多さにあります。
つまり、5月から6月初旬にかけては内容が着実に上向いたものの、直近で足踏みしているのが実情です。地力は平均級まで来ており、あとは長打をどう減らせるかが後半戦のカギになりそうです。
登板別データで見る成長曲線と直近の足踏み
ここからが本題です。登板ごとのデータを並べると、単純な苦戦という言葉では片付けられない事実が見えてきます。
| 日付 | 対戦 | 投球回 | 自責点 | ERA | 奪三振 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3/30 | CLE | 4.0 | 1 | 2.25 | 4 |
| 4/5 | WSN | 5.0 | 6 | 10.80 | 5 |
| 4/12 | TEX | 4.0 | 2 | 4.50 | 6 |
| 4/19 | COL | 4.2 | 3 | 5.79 | 2 |
| 4/25 | CHC | 5.0 | 4 | 7.20 | 5 |
| 5/2 | STL | 6.0 | 3 | 4.50 | 4 |
| 5/11 | SF | 5.0 | 3 | 5.40 | 5 |
| 5/17 | LAA | 7.0 | 1 | 1.29 | 8 |
| 5/23 | MIL | 5.0 | 2 | 3.60 | 4 |
| 5/30 | PHI | 5.1 | 1 | 1.69 | 7 |
| 6/5 | LAA | 7.0 | 0 | 0.00 | 10 |
| 6/12 | CWS | 4.1 | 7 | 14.54 | 4 |
| 最新6/19 | BAL | 5.2 | 3 | 4.76 | 6 |
注目してほしいのは投球回のトレンドです。
投球回の明確な上昇トレンド
4.0回 → 5.0回 → 4.0回 → 4.2回 → 5.0回 → 6.0回 → 5.0回 → 7.0回 → 5.0回
5月17日(LAA)では、今季最長となる7.0回を1失点・8奪三振にまとめる好投を見せました。
開幕当初は4回で降板していた投手が、7回を投げ切れるようになってきました。
これは少しずつ投球内容が修正されてきていることの現れです。
📊 POINT: 序盤は失点が先行したが、ERAは5.97から4.03まで改善。直近の6/5(LAA)では7.0回0失点10奪三振と、登板を重ねるごとに投球内容が良くなっている。

世界クラスのスプリット——唯一無二の決め球
佐々木朗希の最大の武器は、言わずと知れたスプリッター(フォーク系)です。
2026年のデータはその威力を数値で明確に証明しています。
| 球種 | 球速 | 使用率 | Whiff% | PutAway% |
|---|---|---|---|---|
| 4-Seam フォーシーム | 97.0 mph | 44% | 18.1% | 11.1% |
| SPLIT スプリット | 87.7 mph | 36% | 33.8% | 18.2% |
| SL スライダー | 86.3 mph | 21% | 40.8% | 28.6% |
Whiff%(空振り率)33.8%。
これは全投手の中でも上位クラスの数値です。
PutAway%(2ストライクからの三振奪取率)も18.2%と機能しており、「2ストライクに追い込んでからスプリットで締める」という決め球としての役割を果たしています。
さらに、スプリットの被打率はわずか.194、wOBA(打者の打撃価値を総合評価する指標。.320前後がMLB平均)は.287と、打者から見れば手が出ない領域の球となっています。
もう一点注目したいのが2025年との球種構成の変化です。
| 球種 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|
| フォーシーム | 49.9% | 43.7% |
| スプリット | 33.5% | 35.7% |
| スウィーパー | 16.3% | 廃止 |
| スライダー | — | 20.6%NEW |
2025年まで使っていたスウィーパーを廃止し、代わりにスライダー(86.3 mph)を新たに導入しています。
このスライダーのWhiff%は40.8%と、スプリットを上回る高さです。
フォーシーム・スプリット・スライダーの三角形が完成すれば、打者はより対応が難しくなります。
最大の課題:フォーシームの精度向上
現時点での最大の課題はフォーシームです。
実際、FanGraphsのLocation+(狙った場所にどれだけ投げられているかを示す指標。100が平均)で見ると、佐々木の制球は2025年の91から2026年は99へと改善しました。
スプリットが91→105、スライダーが82→100と精度を大きく上げた一方で、フォーシームのLocation+は96と平均を下回ったままです。
球そのものの質を示すStuff+が106と平均以上にある分、このフォーシームの制球が整えば、投球全体の安定感はさらに増しそうです。
| 球種 | Run Value (RV/100) | 被打率 | 被長打率 | 被wOBA |
|---|---|---|---|---|
| フォーシーム | -1.7(累計-6) | .337 | .590 | .436 |
| スプリット | -0.6(累計-2) | .194 | .388 | .287 |
| スライダー | -0.2(累計0) | .207 | .379 | .315 |
Run Value(RV/100)が-1.7というのは、フォーシームを100球投げると平均より1.7点多く失点していることを意味します。
被長打率は.590と依然高めで、フォーシームを痛打される場面が残っているのは確かです。
2025年はフォーシームのRV/100が+0.3(ほぼ平均)だったことを考えると、何かが変わっています。
考えられる原因は主に二つです。
①リリースポイントの微妙なズレ
Statcast(スタットキャスト)のデータでは、「リリース高の低下」が複数メディアで指摘されています。
97 mphの球速がありながら被打率が高い背景には、同じ球でも微妙なコース・タイミングのズレが生じている可能性があります。
②打者側のデータ蓄積
メジャー1年目は全打者にとって「初対戦」です。
2年目ともなれば配球パターンや球の軌道への分析が進む。「慣れ」の影響が出やすい時期でもあります。
ただし、救いは直近の5/17・5/23の2登板でフォーシームの被打球の質が改善されつつあることです。今後さらに良くなる余地は十分にあります。
Extension 94パーセンタイルという「隠れた超強み」
佐々木朗希のStatcastで特に際立つ数値がExtension(リリースポイントの前方距離):94パーセンタイル、7.1フィートです。
Extensionとは、投手がリリースした瞬間のプレートからの距離。
この数値が大きいほど、打者にとっては「ボールが突然前に現れる」ような感覚になり、体感速度が実速度より速く感じられます。
94パーセンタイルは全投手の上位6%に位置します。
97.0 mphのフォーシームがさらに速く感じられるということ。
これは「フォーシームの課題」と表裏一体の強みでもあります。
現状の制球課題を克服した時、このExtensionが真価を発揮します。
⚡ POINT: Extension 94パーセンタイル + Fastball Velo 87パーセンタイル = 打者が対応できないレベルの体感球速。フォーシームの制球が整えば、この組み合わせは強力な武器になる。
今後の展望——シーズン後半への期待
現時点の佐々木朗希を整理すると、こういう構図です。
MLB1年目(2025年)の佐々木は8試合・36.1回でxFIP 4.95という数字を残し、可能性の片鱗を見せていました。
2年目の今シーズンは「慣れ」と「課題への対応」が同時進行している状況です。
ただし、直近の5/17(LAA)が示した7.0回1失点8奪三振という内容は、方向性が正しい証拠でもあります。
大谷翔平も山本由伸も、メジャーデビュー後の初年度から2年目にかけて試行錯誤を経ています。
フォーシームの精度向上、BB%の改善で自ずと投球回も長くなってくるでしょう。
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日本人選手の最新のケガ・離脱状況と復帰の見込みは、こちらの記事で毎週まとめています。

まとめ:佐々木朗希 2026——数字の向こうに見えるもの
2026年6月20日時点の佐々木朗希を、データが示す事実としてまとめます。
- ✅ 投球回が登板ごとに増加し、今季最長は7.0回(5/17 LAA)
- ✅ 5/17(LAA)は7.0回1失点8奪三振と今季最高の投球内容
- ✅ スプリットのWhiff% 33.8%は世界クラスの決め球として機能中
- ✅ スライダー導入で三球種の組み合わせが成立しつつある
- ✅ Extension 94パーセンタイルという規格外のリリース優位性
- ⚠️ フォーシームのRV/100 -1.7は改善傾向だが引き続き課題
表面の数字だけを見れば「苦戦」ですが、登板ごとの軌跡をたどると、一度はリーグ平均近くまで前進したことがわかります。直近で足踏みしているとはいえ、地力は着実に伸びています。
シーズンはまだ前半。7.0回まで投げられるようになった佐々木朗希が、フォーシームの制球を取り戻した時。
かつて日本球界を席巻した支配的なピッチングを、メジャーの舞台でどこまで取り戻せるか。長打の抑制が、その鍵を握りそうです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が参考になれば幸いです。

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参考
Baseball Savant
FanGraphs



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