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みなさん、こんにちは!Chanです。
「防御率(ERA)が3点台の投手と2点台の投手、本当に実力差があるの?」と思ったことはありませんか。
実はERAには大きな落とし穴があります。
守備の上手いチームに所属しているだけで防御率が下がり、守備の弱いチームではいくら好投しても数字が上がってしまう。
そんな不公平が起きます。
さらに、フィールドへの打球がヒットになるかアウトになるかは、運の要素も大きく絡みます。
そこで登場するのが FIP(Fielding Independent Pitching/守備独立防御率) です。
三振・四球・被本塁打という「投手が自分でコントロールできる結果」だけを使って算出するため、守備や運の影響をほぼ排除できます。
2026年のMLBでは、FIPで見ると評価が大きく変わる投手が複数います。
ERA 1.50でMLBトップ水準を走るキャム・シュリットラーのFIPは1.90。ERA 2.70のタリク・スクーバルのFIPは2.08——それぞれの「本当の実力」と「今後の成績変化」がFIPから透けて見えてきます。
この記事ではFIPとxFIPの仕組みを初心者向けにやさしく解説し、2026年MLB実例をもとに「FIPをどう活かすか」まで掘り下げます。
- FIPとは何か・ERAとの根本的な違い
- xFIPとFIPの使い分け
- 2026年MLB投手6名のERA/FIP乖離比較テーブル
- 「今後ERA改善が期待できる投手」と「悪化が予想される投手」の見分け方
- FanGraphsでFIPを確認する具体的な方法
FIPとは何か?ERAとの根本的な違い
ERAが「守備に依存する」理由
防御率(ERA/Earned Run Average)は「9イニングあたりに投手が許す自責点」を示す指標です。
野球中継でも頻繁に使われ、シンプルで直感的に強さがわかるのが長所です。
しかし、ERAには見落とされがちな欠点があります。
打者がバットに当てた後、打球がヒットになるかアウトになるかは、投手ではなく守備による影響が大きいという考え方があります。
同じゴロを打たせても、守備範囲の広い遊撃手がいればアウト、守備が弱いチームなら内野安打になります。
自責点が増えればERAが悪化しますが、それは投手のせいではありません。
さらに「運」の問題もあります。
フィールドに飛んだ打球がヒットになる割合(BABIP=Batting Average on Balls In Play)のリーグ平均は約.300前後です。
これが大きくブレている投手は、守備や運の影響を強く受けている可能性があります。
つまりERAは「投手の実力 + 守備の実力 + 打球の運」をまとめて測定してしまう指標なのです。
バレル率など打球の質に関連する指標と合わせて読むと、投手分析がより立体的になります。

FIPが測る「投手がコントロールできること」
FIP(Fielding Independent Pitching)は、投手が直接コントロールできる3要素だけに絞って実力を算出します。
逆にいえば、フィールドへ飛んだすべての打球(シングル・ゴロ・フライアウト)を一切使いません。
守備の良し悪しや打球のBABIP運は完全にカットされます。
FIPの計算式と読み方
FIPの計算式は次のとおりです。
FIP = ( 13×HR + 3×(BB+HBP) − 2×K ) ÷ IP + 定数(約3.15)
計算式は覚えなくて大丈夫です。
重要なのは「ERAと同じスケールで読める」という一点だけです。「13」はHRの重み付け、「3」はBBの重み付け、「2」はKの削減量です。
最後に加える定数はリーグ平均のFIPとERAが一致するよう調整された値で、毎年わずかに変動します。
| FIP値 | 評価 | 目安 |
|---|---|---|
| 3.20未満 | 🏆 エース級 | リーグ屈指の先発投手 |
| 3.20〜3.50 | ⭐ 優秀 | ローテーションの柱 |
| 3.50〜4.00 | ✅ 平均以上 | 安定したローテーション投手 |
| 4.00〜4.50 | ➖ 平均 | リーグ標準レベル |
| 4.50以上 | ⚠️ 改善が必要 | 先発ローテ定着は厳しい |
「FIPとERAが近ければ実力通りの成績。大きく乖離していれば守備か運が絡んでいる」
この視点だけ持っていれば、FIPは十分に活用できます。
xFIPとは?FIPをさらに進化させた指標
HR/FBレートの「運」を取り除く仕組み
FIPは実際に打たれた本塁打数(HR)を使って計算します。
しかし本塁打の数にも「短期的な運」が影響します。
同じ球を投げても、球場の広さや気象条件(温度・風向き)によってスタンドに届くかどうかが変わるからです。
そこでxFIP(Expected Fielding Independent Pitching)は、実際のHR数ではなく「投手のフライボール率にリーグ平均のHR/FB率(約10〜11%)を掛けた推定HR」に置き換えて計算します。これにより、本塁打の短期的な運まで除いた、より安定した投手実力の推計値が得られます。
| 指標 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| FIP | 実際の被HRを反映 | 現時点での実力評価 |
| xFIP | 被HRの運まで補正 | 残りシーズン・来季の予測 |
FIPとxFIPの使い分け方
「FIPは良いがxFIPが高い投手」は被HRが異常に少ない状態(運良し)で、今後HR増加のリスクがあります。
逆に「FIPは普通だがxFIPが優秀」なら、被HRが増えているだけで本来の実力はもっと上、ということになります。
投手のWAR(勝利貢献度)はFIPをベースに算出されています。
WARランキングと合わせてFIPを確認するとより投手評価が立体的になります。

2026年実例|FIPで評価が変わるMLB投手6名
実際に2026年MLB投手のERAとFIPを比較してみましょう。数字がどれほど乖離しているか、一目でわかります。
| 投手(チーム) | ERA | FIP ※一部概算 | 乖離 ERA−FIP |
判定 |
|---|---|---|---|---|
| キャム・シュリットラー(NYY) | 1.50 | 1.90 | −0.40 | ERA割安⚠️ |
| クリストファー・サンチェス(PHI) | 1.47 | 1.81 | −0.34 | ERA割安⚠️ |
| タリク・スクーバル(DET・IL中) | 2.70 | 2.08 | +0.62 | ERA改善余地↗ |
| デービス・マーティン(CHW) | 2.04 | 2.29 | −0.25 | ERA割安⚠️ |
| 大谷翔平(LAD) | 0.82 | 2.47 | −1.65 | ERA割安⚠️ |
| デビン・ウィリアムズ(NYM) | 6.00 | 3.57 | +2.43 | ERA大幅割高↘ |
※2026/5/28現在。FIP値は一部FanGraphs・Baseball Reference参照の概算。
キャム・シュリットラー(ヤンキース)
ERA 1.50・FIP 1.90。ERAがFIPを0.40下回っており(ERA割安⚠️)、LOB%が82.7%・HR/FB率わずか4.8%と幸運な部分も見られます。
本人の実力が高いのは確かですが、ERAがFIPに近づいていく(少し上昇する)可能性も頭に入れておく必要があります。
クリストファー・サンチェス(フィリーズ)
ERA 1.47に対してFIP 1.81と、ERAがわずかにFIPを下回っています(−0.34)。
LOB%が83.9%と非常に高く、得点圏での被打を抑えているのがERAを低く保っている要因のひとつです。
FIPで見ても1.81と超エース級の数字には変わりなく、実力のある投手であることは間違いありません。
ただしFIPへの回帰が進むと、ERAは2点台前半に近づく可能性があります。
タリク・スクーバル(タイガース)
現在IL(故障者リスト)入り中ですが、復帰後に注目の投手です。
IL入り前のERA 2.70に対してFIPは2.08
ERAが実力より0.6点以上高く出ています。復帰後にERAがFIPに近づいていく(改善する)可能性があります。
デービス・マーティン(ホワイトソックス)
再建中のチームで驚きのスタッツを残しています。
ERA 2.04に対してFIPは2.29(−0.25)。LOB%が84.1%と非常に高く、得点圏での粘りがERAを低く保っています。
K/BBレシオは依然優秀で本物の実力がありますが、今後ERAがFIPに近づく可能性があります。
大谷翔平(ドジャース)
2026年先発として好調なスタートを切っており、ERA 0.82はリーグ最高水準。
しかしFIP 2.47・xFIP 3.24との乖離が大きく、BABIP .202(非常に低い)・LOB% 90.9%(非常に高い)がERAを低く保つ要因となっています。
FIPの観点では守備や運の後押しがある可能性を示しており、後半戦でのERAの推移に注目です。
デビン・ウィリアムズ(メッツ)
リリーフのクローザー。
ERA 6.00は一見不調に見えますが、FIP 3.57・xFIP 3.37が示す実力はリーグ平均をはるかに上回ります。
BABIP .400(非常に高い)・LOB% 67.4%(低い)という数字は不運の影響が大きいことを示しており、FIPでは本来の実力が隠れている投手の典型例です。
今後のERA改善に期待が高まります。
最強投手の詳細な個人分析はこちらの記事もあわせてどうぞ。

ERAとFIPの乖離はなぜ生まれる?
ERA > FIPの投手(ERAが過小評価)→ 今後ERA良化の可能性
ERAの数字がFIPより大きい「ERA割高」の状態は、投手が本来の実力以上に悪い成績を残してしまっていることを意味します。
主な原因は3つです。
これらの要因がある投手は、シーズン後半にERAがFIPへ近づいていく(改善する)傾向があります。
「ERA 3.80だがFIP 2.90」という投手は、後半に成績が跳ね上がる可能性を秘めた注目候補です。スクーバルのように、FIPが実力を正確に示している場合、IL復帰後に成績が改善するケースは珍しくありません。
ERA < FIPの投手(ERAが過大評価)→ 今後ERA悪化の可能性
逆に、ERAの数字がFIPより小さい状態は、ERA が投手の実力を過大評価している状態です。優秀な守備陣のサポート、BABIPの低さ、被本塁打の一時的な少なさなどが原因として考えられます。
シュリットラーのケースがまさにこれです。
ERA 1.50はFIP 1.90より0.40低い。被本塁打が9回あたり0.38本という低水準を保っています。
シュリットラーの実力が高いのは確かですが、ERA 1.50という数字がそのまま続くかどうかはFIPを参照すると見え方が変わってきます。
FIP・xFIPを実際に使いこなす実践ガイド
FanGraphsでFIPリーダーボードを確認する方法
FIPとxFIPのデータはFanGraphs(fangraphs.com)で無料確認できます。
- FanGraphsトップページにアクセス
- 上部メニュー「Leaders」→「Major League」を選択
- 「Pitching」タブをクリック
- デフォルトの「Dashboard」ビューにFIPが含まれています
- 「Advanced」ビューに切り替えるとxFIPも確認可能
FIPでソートすることで「今季MLB投手FIPランキング」を一目で確認できます。
ERAランキングと比較すると、各投手の成績に守備・運がどれだけ絡んでいるか、すぐ見えてきます。
こんな場面でFIPを使うと有効
UZR・DRS・OAAなど守備指標の読み方はこちらで詳しく解説しています。

まとめ
FIPとxFIPは、ERA単体では見えにくい「投手の本当の実力」を浮かび上がらせる指標です。
- ERA:実際の失点。守備・BABIP・運がすべて混入する
- FIP:三振・四球・被HRだけで算出。守備と運を排除した実力指標
- xFIP:FIPからさらに被HRの運まで取り除いた、より安定した実力推計値
ERAとFIPの乖離が大きい投手には2パターンあります。
ERA > FIP(ERA割高)は守備や不運でERAが高め。
今後ERA改善の可能性あり。ERA < FIP(ERA割安)は守備支援や幸運でERAが低め。
今後ERA上昇に注意です。
FIPを知ると、スタッツ画面の見方が変わります。
「ERAは4点台だけどFIPは3点台前半」という投手が後半に化けたとき、「やっぱり」と思えるようになります。
ぜひFanGraphsでお気に入りの投手のFIPを確認してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が参考になれば幸いです。
よくある質問(FAQ)
Q1. FIPはERAの代わりに使える指標ですか?
ERAを完全に代替するものではなく、補完する指標です。ERAは「実際に起きた失点の結果」、FIPは「投手の実力から期待される失点」を示します。
両方を並べて見ることでERAが実力通りかどうかを判断できます。「ERA 3.80 / FIP 2.90」なら今後の改善余地あり、「ERA 2.50 / FIP 3.40」なら今後の悪化に注意と読めます。
Q2. FIPとxFIPのどちらが予測精度が高いですか?
翌シーズンや残りシーズンの成績予測にはxFIPの方が信頼性が高いとされています。
xFIPは被本塁打の運までリーグ平均で補正するため、より投手の純粋な実力を反映しやすくなります。
ただし、フライボール投手かゴロ投手かによっても指標の有効性は変わります。
Q3. FIPが低くてERAが高い投手は、FAやトレードで割安に獲得できますか?
そのような選手は市場で低評価されることがあります。
ただしFIPだけでなく、xFIP・K%・BB%・球種構成も総合的に確認してから判断することをおすすめします。
参考・データ出典
・FanGraphs(fangraphs.com)
・FanGraphs Sabermetrics Library – FIP
・Baseball Reference(baseball-reference.com)
・Baseball Savant(baseballsavant.mlb.com)
・MLB公式 Glossary – FIP / xFIP
※記事内の成績データは2026年5月末時点のものです。FIP値は一部概算を含みます。


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